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同業がずらりと並ぶ展示会で、うちを選んでもらうには?
製品の違いを競う前に、誰が何を思って作ったのかを見せます

公開日:2026年9月10日
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製品の違いを競う前に、誰が何を思って作ったのかを見せます
同じ形の白い台がずらりと並ぶ展示会の通路で、手前の一台だけ紺色の布が掛かった台に手を置いて足を止めるアマンディーヌ。同業が並ぶ中で選ばれる会社。比べられているのは、性能ではありません。

「今度出る展示会は、同じ工程を扱う会社が同じ通路に10社近く並びます。カタログを横に置いて比べられたら、うちが一番だと言い切れるところがありません。こういう場所で、どうすれば選んでいただけるのでしょうか」

製品の違いを競う前に、誰が何に困って、何を思って作ったのかを先に見せてください。同じ通路に並んだ時点で、来場者は製品を比べていません。立ち止まるかどうかだけを決めています。

先に、人に話したくなる数字をひとつ置きます。来場者が持ち帰った資料の94.9パーセントは、保管されません。同業と並んだとき、比べられているのは資料の中身ではありません。

会期中に一度、自社の小間を離れて、来場者の歩く速度で自分の通路を通り抜けてみてください。同業のブースと自社のブースが、同じ速度で何秒ずつ視界に入るか。差が付いていなければ、選ばれる理由も付いていません。

以下、通路を歩いている人の側で何が起きているのかを公表されている調査で確かめたうえで、弊社が実際に立ち会った現場の記録を並べます。

1. 通路を歩いている人は、そもそも比べていません

展示会の来場者は、1日でいくつものブースを回ります。産業向け展示会の来場者調査(アペルザ・有効回答413名)では、来場者が訪問するブースは平均17社でした。同じ調査で、持ち帰られた資料の94.9パーセントは保管されていません。名刺についても、法人向けの調査(Sansan・有効回答1,272名)で57.7パーセントが管理されていないという結果が出ています。

この数字が示しているのは、来場者が不熱心だということではありません。17社ぶんの情報を1人の頭に残しておくことが、はじめから無理だということです。だから来場者は、選んでいるのではなく、絞っています。

現場では「3秒以内に印象に残らなければ素通りされる」とよく言われます。秒数そのものは人によって主張が違いますので、弊社は数字としては使いません。ただ、通路を歩く人が読む前に決めていることは、ブースに立てばすぐ分かります。看板の1行を読み切る前に、足はもう次へ向かっています。

2. 選ばれない本当の理由は、集めることが目的になっていることです

同業が並ぶ展示会で成果が出ないとき、原因が製品の側にあることは、実はあまりありません。多くの場合、出展の目的が、名刺とアンケートを集めることそのものになっています。

集めたリストは、あとから電話や案内で温めていけばよい。そう考えられがちです。ところが実際には、そうなりません。データだけ取られて、その場では何も起こらなかった相手に、後日こちらから連絡をしても、返事は返ってきません。会期中に盛り上がらなかった相手は、会期のあとも盛り上がらないからです。

先ほどのアペルザの調査には続きがあります。ブースを訪問したあとに検討を始めたと答えた方が56.6パーセントいました。つまり、その場の数分間が、あとで検討が始まるかどうかを決めています。あとから追いかけて作れるものではありません。

ここを取り違えたまま小間を大きくしても、集まる名刺の枚数が増えるだけです。交換した名刺が商談にならないという悩みも、根はここにあります。

3. 差がつくのは製品ではなく、作っている理由です

同じ工程、同じ精度、同じ納期。カタログの欄が同じなら、来場者はそこに違いを見つけられません。ここで効いてくるのは、欄の外側にあるものです。誰が、どの現場の何に困って、何を思ってこれを作ったのか。

話の形にすると記憶に残ることは、古い実験ですが繰り返し確かめられています。BowerとClarkが1969年に行った実験では、単語をばらばらに覚えた群の再生率が13パーセントだったのに対し、物語につないで覚えた群は93パーセントでした。もっとも、これは単語を覚える実験であって、そのまま商談に置き換えられるものではありません。それでも、並べられた情報と、つながった話とでは残り方が違うという方向は示しています。

同業と並んだとき、性能の数字は相手の頭の中で混ざります。混ざらないのは、その会社の人が実際に何を見て、何に腹を立てて、何を作り直したのかという中身です。ここは同業と重なりません。もともと会社ごとに違うからです。

4. 通路の側から組み直す、4つの順番

費用をかけずに、今からでも変えられる順番が4つあります。

  1. 通路から最初に目に入る面に、社名ではなく「誰の、どの困りごとを解くのか」を1行で置く。製品名も工法名も、その次でかまいません
  2. 製品そのものより先に、それが使われている場面を見せる。写真でも模型でも絵でも構いません。判断されているのは、自社の現場に置き換えられるかどうかです
  3. 立ち止まった方に、説明を始めない。先に、いまお困りのことをうかがう。説明はそのお困りごとに当たる部分だけにする
  4. その場で決められる人を、必ず1人ブースに置く。持ち帰って検討します、で終わらせない

4つとも、お金の話ではありません。順番の話です。同業がずらりと並ぶ会場ほど、この順番の差だけが残ります。ブースに誰が立つかも、同じ考え方でお決めいただけます。

5. 同じ会場で、459件のアンケートが集まった記録

弊社が伴走した株式会社美華道さまの記録を、そのままお伝えします。

第2回鉄道技術展・大阪2026(2026年5月27日から29日・インテックス大阪)への出展です。商材は床面サインの特殊施工「スマートシグナル」で、鉄道や物流の現場に線や表示を貼り込む技術です。同種の施工を扱う会社は、同じ会場に複数出ておられました。

ここで美華道さまは、施工の精度を並べるのではなく、自社マスコット「シグナ・ミカ」を立てて、床の表示が現場の何を助けているのかという話のほうを前に出されました。

結果として、会期3日間でアンケートが459件集まりました。前回出展された関西物流展の約12.8倍です。うち前向きなご回答が164件で35.7パーセント。会期中の見積が19件。お話しした相手の75.5パーセントが、JRや上場企業などの大企業層でした。

正直に申し上げると、この1件で方法の優劣は決まりません。展示会そのものの規模も来場者層も違います。それでも1つ確かなことがあります。同じ会社が、同じ商材で、見せる順番を変えた前と後の記録だということです。

よくあるご質問

Q1. 小間が小さくても、同じことができますか。

できます。むしろ小間が小さいほど、置くものを1つに絞る判断がしやすくなります。大きい小間は、あれもこれも置けてしまうぶん、通路から見たときに何屋なのかが読めなくなりがちです。1小間でも、正面に1行と場面の絵があれば足は止まります。

Q2. マンガにすると、内容が軽く見られませんか。

絵柄と中身の設計次第です。技術の話を省いて雰囲氣だけにすれば、そのとおりに受け取られます。弊社がお作りするものは、その会社の現場で実際に起きたことをなぞります。専門の方が読んで「分かっている人が描いている」と感じられるかどうかを、いちばんの条件にしています。

Q3. 製品が地味で、絵になるものがありません。

絵にするのは製品ではなく、使われている現場のほうです。ねじ1本でも、それが締まっていなかったときに現場で何が起きるかは、必ず絵になります。地味だとおっしゃる会社さまほど、話をうかがうと現場の逸話が出てきます。

Q4. 準備はいつから始めればよいですか。

会期の3か月前には、正面に置く1行を決めておきたいところです。造作やパネルの入稿はそのあとで間に合いますが、1行が決まっていないと、造作もパネルも配布物もばらばらの方向を向きます。決めるのに時間がかかるのは、印刷物ではなく、この1行のほうです。

Q5. 同業も同じことを始めたら、また横並びになりませんか。

なりません。ここで置くのは、その会社が何に困って何を作り直したのかという中身だからです。工法は真似できても、その会社が通ってきた経緯までは真似できません。横並びになるのは、真似のできるものを並べたときだけです。

最後に、ひとつだけうかがわせてください。

いま御社のブースで、通路から最初に目に入る面に書かれている言葉は、製品の名前でしょうか。それとも、その製品が解いている困りごとの言葉でしょうか。

その面の写真を1枚、ご相談のときにお持ちください。通路の側から、一緒に見ます。

すでに出ている費用に、何が返っていますか。

求人サイトの掲載料、展示会の出展料、広告費。どれも、もう払っている費用です。その額に対して何人採れたのか、何件が商談になったのか。御社の数字を入れると、そのまま出ます。会社名もお名前も要りません。

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同業が並ぶ通路で比べられているのは、性能ではありません。自分の現場に置き換えられるかどうかです。

では、並ぶ前に何ができるか

ブースの前を素通りされるのはなぜかブースの前を素通りされるのはなぜ?通路から見て、何屋なのかが読めていないからです立ち止まるかどうかが、どこで決まっているかの話です。記事を読む →

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