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そのブースに、誰が立っていますか?
声をかける前に、足が止まる仕掛けが要ります

公開日:2026年8月23日
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そのブースに、誰が立っていますか? 声をかける前にできること

「今年の展示会、誰に立ってもらいましょうか」。出展が決まったあと、社内で最初に出る相談がこれだと思います。

結論から申し上げます。ブースの成果は、立つ人の人選ではほとんど変わりません。変わるのは、その人が来場者に渡せるものを持って立っているかどうかです。人を決める前に、渡すものを決めてください。

この記事では、ブースに立つ人が当日なにを持っていれば商談につながるのかを、来場者の側から順番に書きます。説明員のマニュアルを作る前にご覧ください。

1. 人選の問題にすると、毎年おなじ結果になる

ブースに立つ人は、たいてい手が空いている順で決まります。営業部から2名、技術から1名、あとは若手。そして当日、話し上手な人のところにだけ人が集まり、その人が席を外すと通路が静かになります。

翌年の反省会では「もっと声かけができる人を入れよう」という結論になります。ここが分かれ道です。人を入れ替えても、渡すものが去年と同じなら、結果も去年と同じところに戻ります。

そもそも来場者は、声をかけられたから足を止めるわけではありません。足が止まったあとで、声をかけられているだけです。順番が逆になっていないかどうかを、先に確かめる必要があります。

2. 来場者から見ると、御社のブースは何十社のうちの1つ

出展する側は1つのブースに全力を注ぎます。ところが来場する側は、朝から夕方まで会場を歩き続けています。

製造業向けの情報サイトを運営するアペルザが来場者413名に行った調査では、1回の来場で訪問するブースは平均17社でした。同じ調査で、持ち帰った資料の94.9%は保管されないという結果が出ています。一方で、訪問後に56.6%が具体的な検討を始めたとも答えています。

名刺のほうも似ています。Sansanが1,272名に行った調査では、受け取った名刺の57.7%が管理されないまま残っていました。

展示会の現場では「3秒で印象に残らないと素通りされる」「集めた名刺の9割は捨てているのも同然」とよく言われます。上の調査は、その言われ方が現場感覚として的外れではないことを示しています。ただし秒数や9割という数字そのものが測定されたわけではありませんので、この記事では定説として扱います。

3. 声かけがノルマになると、来場者は逃げていきます

ここが、弊社がブースの中に立ち続けて見てきたところです。

展示会が、いつのまにか「リストを集めること」がゴールになっています。名刺を何枚、アンケートを何件、と数が課されます。すると立っている人は、通路の人を止めることに集中します。呼び止められた側は、用件を聞かれる前に身構えます。

そのあとテレアポやメールで追いかければ商談になる、という前提で設計されている出展を、よくお見かけします。しかしデータだけを取られて、その場では何も交わされていない相手に、後から電話をかけても会話は始まりません。

会期後に返事が来るのは、会期中にその場が盛り上がった相手だけです。名刺は結果であって、目的ではありません。

4. ブースに立つ人に要るのは、この3つです

話術ではありません。当日その人の手元にあるべきものを3つ挙げます。

  1. 足が止まる入口。自社の紹介ではなく、相手の現場で起きている困りごとから始まる一言です。「〇〇でお困りではありませんか」ではなく、相手が思わずうなずく状況の描写にします。
  2. その場で渡せる中身。カタログの前に、相手の現場がどう変わるのかが見える形のものです。読むのに5分かかるものは、17社を回っている人の手元では開かれません。
  3. 続きの約束。会期後に何が、いつ届くのかを、その場で言い切れることです。ここが用意されていないと、名刺は交換された時点で行き止まりになります。

この3つがそろっていれば、立つ人が誰であっても会話は成立します。逆にそろっていなければ、話し上手な人が疲れるだけの2日間になります。名刺が300枚集まったのに商談がゼロだったという状態は、ほとんどがこの3つ目の不在から起きています。

5. 人を決める前に、決めておく3つのこと

順番としては、こちらが先です。

  1. 誰に来てほしいのか。会社名ではなく、職種と役割で書きます。現場の責任者なのか、購買なのか、経営者なのかで、足が止まる一言は別のものになります。
  2. その人が足を止める1行。ブースの上に掲げる言葉です。事業内容や技術の名前ではなく、相手の困りごとの側から書きます。
  3. 名刺をいただいたあと、何を送るのか。会期の3か月前に決めておくと、当日その場で口に出せます。準備を3か月前から逆算するのは、この3つ目のためです。

この3つが決まってから人を選ぶと、選ぶ基準が「話がうまいか」ではなく「この中身を自分の言葉で言えるか」に変わります。ここまで来ると、若手でも立てます。

6. 当日、立っている人がしていること

会期中の動き方も、渡すものが決まっていれば単純になります。

通路に向かって立ち、話しかけるのではなく、目が合った人に軽くうなずく。足が止まった人にだけ、入口の一言を言う。相手が3分以上いてくださったら、その場で続きの約束をして名刺をいただく。立ち止まらなかった人は追いかけない。

追いかけないという部分が、いちばん実行されません。数を課されているとどうしても追いかけてしまいます。ですから、数のノルマは出展の設計から外してください。外した年から、会期後の返信率が変わります。

7. 私たちの現場から

弊社は、フランスのJAPAN EXPO等へ累計11回出展してまいりました。言葉が通じない会場で分かったのは、立っている人の話術がほとんど効かないということです。

効いたのは、通路から見えるところに、読まずに分かる物語が掲げてあることでした。足が止まってから会話が始まり、会話が始まってから名刺が出ます。日本の展示会でも順番は同じです。

倍率や増加率でご説明できるような話ではありません。ただ、11回続けて分かったのは、成果が変わるのは人を替えたときではなく、渡すものを替えたときだ、ということです。

8. 今週できる3つのこと

出展が決まっている方は、今週のうちに確かめられることがあります。

  1. 去年の来場者リストを開き、会期後に返信が来た相手が何社か数える。その相手と会期中に何を話したかを、立っていた人に聞きます。
  2. 今年のブースに掲げる1行を、社外の方に読んでもらう。10秒で何の会社か伝わらなければ、書き直します。
  3. 名刺をいただいたあとに送るものを、いま決める。決まっていないなら、それが今年いちばん先に用意するものです。

この3つは費用がかかりません。ここで詰まった箇所が、そのままブースで足りていないものです。

よくあるご質問

Q1. ブースには何人立つのが適切ですか。

人数より、同時に何組と話せる形にしてあるかです。3名立っていても、入口の一言を言えるのが1名なら、実質1名のブースになります。まず全員が同じ一言を言える状態にしてから、人数を検討してください。

Q2. 話すのが苦手な社員でも立てますか。

立てます。むしろ、渡すものが決まっているときは、技術の方が現場の言葉で答えるほうが伝わります。必要なのは会話を作る力ではなく、相手の質問に具体的に答えられることです。

Q3. 声かけの台本は用意したほうがいいですか。

台本より、最初の1行だけを全員で共通にしてください。そのあとは相手によって変わりますので、細かく決めるほど不自然になります。決めるのは入口と、続きの約束の2か所だけで足ります。

Q4. 名刺の枚数を目標にしてはいけないのですか。

目標として掲げると、当日の行動が枚数を増やす方向に寄ります。枚数は記録として残せば十分です。何で報告するかについては、展示会の成果を何で測るかにまとめてあります。

Q5. 会期後のフォローは、いつまでに始めるべきですか。

会期中に約束した期日どおりが最も効きます。「来週お送りします」と言ったなら来週です。フォローの巧拙より、会期中に口に出した約束が守られたかどうかを見られています。会期中に商談が生まれるブースの共通点もあわせてご覧ください。

最後に、ひとつだけうかがわせてください。

今年ブースに立たれる方に、いまこの場で「うちのブースに足を止めた人へ、最初の一言を言ってみてください」とお願いしたら、同じ言葉が返ってくるでしょうか。

人によってばらばらでしたら、足りないのは人選ではありません。そのとき出てきた言葉をすべてメモしてお持ちください。そこから、通路から見える1行を組み立てます。

足を止める入口から、会期後の続きまでを一続きで設計しています。展示会マンガプロジェクトを見る

誰が立つかを決める前に、その人が何を渡せるかを決める。ブースの成果は、この順番でだけ動きます。

参考実績

美華道さま 鉄道技術展のブース【鉄道技術展】ブースで足が止まる入口をつくる通路から読める物語を掲げ、会話が始まってから名刺を交わす形にしました。実績を見る →

参考ブログ

展示会総まとめ【展示会総まとめ】前・中・後の設計名刺は集まるのに商談が生まれない、から抜け出す順番をまとめています。記事を読む →

2026年8月23日

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