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展示会の準備はいつから始めれば間に合う?
3か月前から逆算する、当日の熱のつくり方

公開日:2026年8月11日
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3か月前から逆算する、当日の熱のつくり方
展示会の準備はいつから始めれば間に合う?3か月前から逆算する、当日の熱のつくり方

「出展が決まった。でも、何から手をつければいいのか分からない」

結論から申し上げます。最初に決めるのは、ブースの装飾でも配布物でもありません。当日、通路を歩く人と何を話すかです。会話が決まれば、掲示物も配布物も、会期後に送る文面も、そこから逆算で決まります。私たちは3か月前から動くことを目安にしています。

選べるなら、4か月前です。計画を決め、情報を集め、デザインを制作し、印刷を仕上げ、当日の人員を手配する。この工程は同時には走りません。順番に並びます。初めての出展なら、やってみて初めて分かることも出てきます。それに対応する時間が要ります。

とはいえ、3か月前からでも出展はできます。足りないのは時間ではなく順番です。ここでは3か月前を起点に置きます。

1. 準備が空回りするのは、ゴールが「名刺の枚数」になっているから

出展準備のご相談をうかがうと、最初に出てくるのは小間の位置、パネルのデザイン、ノベルティの選定です。どれも必要ですが、これらはすべて手段です。手段から決めると、当日の成否を「たくさん配れたか」で測ることになります。

展示会は、リスト集めがゴールになってしまいがちです。集めた後はテレアポやメールのナーチャリングでなんとかなる、という前提が置かれている。けれど現場を見てきてはっきり言えることがあります。データだけ取られても、その場が盛り上がっていなければ、後追いは動きません。

「集めた名刺の9割は捨てているのも同然」とよく言われます。Sansanの調査(n=1,272)でも、交換した名刺の57.7%が管理されていないという結果が出ています。

数字はもう少しあります。アペルザの展示会調査(n=413)では、来場者は1日に平均17社のブースを訪問し、持ち帰られた資料の94.9%は保管されない。その一方で、ブースを訪問した後に56.6%が検討を開始しています。

配ることではなく、思い出される状態をつくること。準備の起点をここに置き直すと、やることの順番が変わります。

2. 3か月前:装飾より先に「当日の会話」を決める

最初の1か月でやることは、紙に書けば数行です。

  1. 誰に来てほしいのかを決める。役職・部署・困っている場面まで具体的に書き出す。
  2. その人に、最初の3秒で何を伝えるのかを一言に削る。
  3. 足を止めた人と、どんな順番で何を話すのか。会話の型を決める。

「3秒以内に印象に残らないと素通りされる」と言われます。秒数を一次データとして断定はできませんが、通路を歩く人の目線が一つのブースに置かれる時間がごく短いことは、出展された方なら実感としてお持ちのはずです。

この3つが決まらないまま装飾に進むと、パネルの情報は増えていきます。情報が増えるほど、3秒で読めるものは減ります。

3. 2か月前:遠くの一言と、近くの中身を分けて作る

ブースは二層で設計します。通路の3メートルから5メートル先で読める「遠景の一言」と、足を止めた方が受け取る「近景の中身」です。

遠景の一言は、製品名でも社名でもありません。相手の困りごとの言葉です。近景では、自分たちが何者で、なぜこの仕事をしているのかが数秒で伝わる形にします。

弊社はここでマンガを使いますが、入口に大きく貼るのではなく、足を止めた方が手に取る位置に一箇所だけ置きます。売り込むためではありません。読んでいる数十秒のあいだに、こちらから声をかけなくても会話が始まるからです。

4. 1か月前:会期後に送る文面を、会期前に書いてしまう

会期が終わってから書き始めると、いちばん熱のあるはずの週を文面づくりに使ってしまいます。返信が戻らない最大の理由は、内容の巧拙ではなく遅さです。

  1. 後追いの文面を、会期前に3種類つくる。詳しく聞きたい方、資料だけ欲しい方、ご挨拶のみの方。
  2. 名刺に、その方と何を話したかを一言だけ書く運用を決める。書く場所と記号まで決めておく。
  3. 誰がいつ送るのかを、会期前にカレンダーへ入れる。

「どちらさまでしたか」と言われるのは、営業担当の力不足ではありません。相手の机の上で、御社の名刺が他社の束と同じ姿をしているだけです。一言のメモが、その束から1枚を引き上げます。

5. 会期中:データを取る前に、熱をつくる

当日いちばん避けたいのは、名刺をいただいてすぐ説明を始めることです。順番が逆になっています。

その方が何に困って足を止めたのかを先にうかがう。相手の言葉が出てから、こちらの話をする。この順番でないと、名刺は「もらった」だけの紙になります。

床面サインの美華道さまは、鉄道技術展・大阪2026で、製品説明を増やすのではなく逆の選択をされました。自分たちが何者かを来場者が数秒で受け取れる形にし、ブース全体を組み替えられたのです。結果、ブースアンケートの回収は459件、前回出展の約12.8倍でした。堅い業界の大企業が足を止めた3日間です。

6. 会期後1週間:温度の順に分ける

アペルザの調査では、ブースを訪問した後に56.6%が検討を開始しています。相手が動き出しているうちに届くかどうかが分かれ目です。

  1. 会期の翌日。会話のメモがある方から先に送る。件名に、その場で出た言葉を入れる。
  2. 3日以内。資料をご希望の方へ。送るだけでなく、どこを見ていただきたいかを1行添える。
  3. 1週間以内。ご挨拶のみだった方へ。ここは無理に追わず、次の接点をつくる。

温度で順番を分けるだけで、同じ名刺の束から返ってくる数は変わります。

7. そのまま使える、逆算の段取り表

  1. 4か月前。選べるならここから。情報を集め、装飾の依頼先と、当日立つ人を先に決める。
  2. 3か月前。目的とターゲット、3秒の一言、会話の型を決める。
  3. 2か月前。遠景の一言と近景の中身を分けて、制作に入る。
  4. 1か月前。後追い文面3種、名刺メモの運用、送信担当を決める。
  5. 2週間前。ブースでの立ち位置と声かけを、実際に立って練習する。
  6. 会期中。相手の言葉を先にうかがい、名刺に一言メモを残す。
  7. 翌日から1週間。温度の順に後追いする。

装飾の相談から始まった準備が、この順番に変わるだけで、会期後の1週間の景色が変わります。

よくあるご質問

Q1. 準備期間が1か月しかありません。間に合いますか。

間に合わせ方が変わります。装飾は既存のもので構いません。優先していただきたいのは「3秒の一言」「会話の型」「後追い文面3種」の3つです。この3つは紙とペンで決められます。

Q2. 小間が小さくても同じ手順でよいですか。

同じです。小間が小さいほど、遠景の一言の重みが増します。情報量を減らして一言を大きくするほうが、通路からは見つかります。

Q3. ノベルティは用意すべきでしょうか。

目的次第です。持ち帰られた資料の94.9%は保管されないという調査(アペルザ、n=413)があります。配ることを目的にせず、会話が生まれる小道具として置く形なら働きます。

Q4. 出展の目的が「認知」の場合も、この段取りですか。

はい。認知が目的でも、思い出されなければ認知は残りません。3秒の一言と、会期後の接点づくりは同じように必要です。

Q5. 4か月前と3か月前では何が変わりますか。

変わるのは余裕ではなく、順番の自由度です。計画、情報収集、デザイン制作、印刷、当日の人員手配。これらは直列に並びます。印刷物は入稿から納品まで1週間から2週間かかり、デザインの制作期間を含めればさらに前へ戻ります。加えて、主催者の事務局へ出す各種申請や、装飾の最終発注には、会期の1か月前から2か月前に締切が設定されるものがあります。ここを過ぎると、直したくても直せません。

4か月前から動けると、この順番を1つずつ終わらせられます。初めての出展なら、やってみて初めて分かることや、その場で決め直しが要ることも出てきます。その分を持っておけるかどうかの差です。

3か月前からでも出展はできます。工程が重なったときに何を削るかを、先に決めておけば大丈夫です。削るのは装飾から。最後まで残すのは、当日の会話です。

最後に、ひとつだけうかがわせてください。

前回の出展で交換した名刺のうち、その方と何を話したかを言える名刺は何枚ありますか。

すぐに思い出せないなら、変えるのは小間の位置ではありません。前回お使いになった配布物を1つお持ちください。どこまでが製品の説明で、どこからが御社の物語になっているかを、一緒に読み分けます。

前・中・後をひとつながりで設計する進め方をまとめています。展示会マンガプロジェクトを見る

装飾より先に、当日の会話から決める。

参考実績

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参考ブログ

tenjikai monogatari v2名刺は集まるのに商談が生まれない、から抜け出す「前・中・後」名刺の枚数から「氣づいて帰る人の数」へ。設計手順の全体像。記事を読む →

2026年8月11日

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