
「南仏に出るなら、冬のマルセイユ。では春は、どこへ行けばいいのだろう」
トゥーロンです。マルセイユから東へ65キロの港町で、マング・アジュール(Mang’Azur)という催しが春に開かれています。次の回は2027年4月24日と25日、会場はパレ・デ・コングレ・ネプチューン。公式サイトが掲げている規模は、来場者22,000人、出展70、招待ゲスト50名、会場3,000平方メートルです。この記事は、2026年8月21日に主催者の公式サイト(mangazur.fr)と会場の公式サイトで確認できた事実だけを並べます。出展のお誘いはいたしません。
1. 場所は、マルセイユから65キロの港町です
トゥーロンは、地中海に面したフランス南部の港町です。冬のマルセイユの回に出たことのある会社にとって、位置関係がいちばん分かりやすい説明になります。会場の公式サイトが案内しているのは、次の4つです。
- マルセイユまで65キロ(高速道路A50)
- パリからTGVの直通で約4時間
- TGVのトゥーロン駅から会場まで徒歩10分
- トゥーロン・イエール空港から30分
駅から徒歩10分という点は、荷物を持って動く出展者には小さくない条件です。什器を現地調達に切り替えるのか、日本から送るのかという判断が、ここで変わります。
2. 公式が出している数字は、この4つだけです
主催者の公式サイトには「En quelques chiffres(数字で見ると)」という欄があり、次の4つが並んでいます。
- 来場者 22,000人
- 出展 70
- 招待ゲスト 50名
- 会場面積 3,000平方メートル
正直に申し上げます。この4つの数字には、何年のものかが書かれていません。直近の回の実績なのか、これまでの最大値なのかは、公式サイトからは判断できませんでした。判断できないものを断定して書くわけにはいきませんので、ここでは「公式サイトが掲げている数字」としてそのまま置いておきます。
そのうえで、比べる材料をお出しします。リヨンのジャパンタッチは45,000人、マルセイユの回はブース350。トゥーロンは、この2つより小さい催しです。小さいことは、必ずしも不利ではありません。理由は5番でお話しします。
3. 次の回は2027年4月24日と25日です
公式サイトのトップに、はっきりとこう出ています。「Rendez-vous les 24 et 25 avril 2027 au Palais Neptune Toulon」。2027年4月24日と25日、トゥーロンのパレ・ネプチューンでお会いしましょう、という一文です。
土曜と日曜の2日間です。直近の回は2026年4月18日と19日に開かれました。ここは複数の地域の催事情報が一致して伝えていた日付で、公式サイトで直接確認できたのは次回の2027年4月24日・25日のほうです。区別してお伝えしておきます。
春の2日間、という点は日程の組み方に効きます。7月のパリ、11月のリヨン、冬のマルセイユ。フランスの主要な催しは、時期が見事に散っています。1年のうちどこで動けるかによって、行ける場所が変わるということです。
4. 出展の申込に、料金表がありません
出展を検討される方がいちばん知りたいのは費用だと思います。先にお伝えします。公式サイトに出展料の記載はありません。
公式の出展者ページに書かれているのは、次の内容です。
- 対象は、協会、アーティスト、アジアに関わる企業や団体
- 申込書(dossier d’inscription)は、記載されたメールアドレスへ請求する
- 請求の際に、希望するスタンドの種類と、自社の事業内容を書き添える
連絡先が主催者側の個人アドレスではなく、会場(パレ・デ・コングレ・ネプチューン)の担当者宛になっている点も、そのまま書いておきます。区分ごとの面積も、電源の条件も、募集期間も公開されていません。つまり、資料を取り寄せて初めて条件が分かる形です。ジャパンエキスポのように区分と料金が公開されている催しとは、この点がはっきり違います。
推測の金額は、この記事には書きません。書けば、それが独り歩きするからです。
5. 「見本市会場」ではなく「会議場」で開かれます
パレ・デ・コングレは、日本語にすると会議場です。見本市の展示ホールではありません。公式が掲げる会場面積は3,000平方メートル。ヴィルパントやシャノのような広大な展示ホールとは、規模も作りも別のものだと考えたほうが実際に近いはずです。
これを不利と受け取るかどうかは、出る目的によります。広い会場では、来場者は歩き続けます。狭い会場では、立ち止まる場所そのものが少ないので、一度足を止めた人と長く話せます。展示会の成果を何で測るかという話とつながりますが、名刺の枚数を追うなら大きい会場が有利で、会話の数を追うなら小さい会場が有利です。
公式サイトによれば、内容は日本・韓国・欧州のアーティストによるコンサート、講演とサイン会、コスプレの大会、ゲームとeスポーツ、出展スペース、フードトラックによる飲食です。来場者は、買い物のためだけに来ているわけではありません。滞在時間の長い催しだということです。
6. 14年前の記録にも、この名前は載っています
弊社代表の松山は、デジタルコンテンツ協会の白書でフランスのマンガ事情を担当し、現地取材を重ねてきました。その2013年版に載せた一覧に、トゥーロンのマング・アジュールの名前があります。14年前には、すでに続いていた催しだということです。
同じ白書には、こんな記録も残しています。2012年度のフランスでは、マンガ関連の催しが年間58件ありました(出典はNautiljon。2012年度の数であって、現在の数ではありません)。そして、かつてはパリに集中していたものが、フランス全土へ広がっていきました。トゥーロンの催しは、その流れの中にあります。
白書にはもうひとつ、出展する側にとって耳の痛い記録があります。山陰国際観光協議会が2012年から2013年にかけてジャパンエキスポへ連続出展した事例を取材したとき、多くの自治体が1回の出展で成果が出ずにあきらめ、担当者が代わって情熱を失っていくという実情が見えました。場所を選ぶ話よりも、こちらのほうが結果を分けます。
7. パリ・マルセイユ・リヨンと並べると、どこに置く催しか
フランスで日本文化の催しに出ようとするとき、選択肢は1つではありません。整理すると、こうなります。
- 7月・パリ北郊ヴィルパント ジャパンエキスポ。規模が最大で、出展区分と料金が公開されている
- 2月から3月・マルセイユ 同じ主催者による冬の回。ブース350
- 11月・リヨン ジャパンタッチ。45,000人。主催は別会社
- 10月と2月・パリ パリマンガ。年2回
- 6月・パリ近郊 エピタニメ。30年以上、学生団体が運営している
- 4月・トゥーロン マング・アジュール。春の2日間
弊社自身は、フランス・JAPAN EXPO等に11回出展してきました。11回のあいだに分かったことを、ひとつだけ申し上げます。現地で強いのは、大きい会社ではなく、去年も一昨年も同じ場所にいた会社でした。来場者は覚えています。「去年もいましたよね」から始まる会話は、初対面の説明より速く進みます。
トゥーロンのような規模の催しは、その「同じ場所にいる」を始めるのに向いています。1回で全部を取りにいく場所ではありません。
よくあるご質問
Q1. 出展料はいくらですか。
公開されていません。公式の出展者ページに料金の記載はなく、申込書を請求して初めて条件が分かる形です。金額を推測して書くことは、この記事ではいたしません。
Q2. 日本の会社でも出展できますか。
公式が挙げている対象は「協会、アーティスト、アジアに関わる企業や団体」で、国籍の制限は書かれていません。ただし申込制ですので、内容が催しの趣旨に合うかどうかは主催者が判断します。
Q3. マルセイユとトゥーロン、どちらに出るべきですか。
比べるべきは規模ではなく、御社が1年のどこで動けるかです。マルセイユは冬(2月から3月)、トゥーロンは春(4月)。同じ南仏でも時期が違いますので、社内の繁忙期と重なるほうを外す、という決め方が現実的です。両方に出る場合も、65キロしか離れていません。
Q4. 2日間しかないのに、行く価値はありますか。
2日間だからこそ、前後の設計が要ります。会期の2日で成果を出そうとすると、たいてい間に合いません。行く前に現地で読まれるものを用意し、会期中に会話を残し、帰国後に思い出してもらう。この3つが揃っているかどうかで、2日間の意味は変わります。
Q5. 現地の言葉ができないと難しいですか。
ブースに立つ人がフランス語を話せるに越したことはありません。ただ、弊社が11回の出展で見てきたかぎり、最初に足を止めさせるのは言葉ではありませんでした。読める絵があるかどうかです。話しかけられてから言葉が要る、という順番になります。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
御社がフランスの催しに出るとして、会場でいちばん最初に相手の目に入るものは、何でしょうか。
社名でも、製品名でもなかった、というのが11回出てきた実感です。いま海外向けにお使いの資料を1点お持ちください。それが最初の3秒で何を伝えているかを、一緒に見てみます。
海外向けマンガの実際の取り組みをご覧いただけます。国際マンガの事例を見る
出展先は、規模で選ばずに、続けられる場所で選ぶ。
参考ブログ
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