
「フランスで日本のマンガや文化の催しに出るなら、パリのジャパンエキスポ。ほかに企業が出られる場所は、あるのだろうか」
あります。リヨンのジャパンタッチ(Japan Touch)です。2026年は11月28日から29日、会場はユーレクスポ・リヨン(Eurexpo Lyon)。公式サイトの表記で来場45,000人、出展者とブランドが450、26回目の開催です。この記事は、2026年8月18日に主催者の公式サイト(japan-touch.com)で確認できた事実だけを並べます。出展のお誘いはいたしません。
1. 場所は、パリから鉄道で2時間のリヨンです
リヨンはフランス第2の都市圏で、パリからTGVでおよそ2時間。会場のユーレクスポ・リヨンは、市の東隣シャシュー(Chassieu)にある大型の見本市会場です。ジャパンエキスポが使うパリ北郊のヴィルパント(Paris-Nord Villepinte)と同じく、見本市専用の会場で、業界の展示会と同じ設備が使えます。
ここは押さえておいていただきたい点です。日本文化の催しには、学校の校舎や市民会館を使うものと、見本市会場を使うものがあります。後者は、企業が什器や電源を持ち込んで商談する前提の設備が整っています。会場の種類が、出せるものを決めます。
2. 規模の数字は、出どころを分けて読んでください
公式サイト(japan-touch.com)に掲げられている数字は、次の2つです。
- 来場者 45,000
- 出展者とブランド 450
正直に申し上げます。フランスの情報サイトや地元紙には、これと違う数字が並んでいます。第27回と書くもの、来場5万人と書くもの、日本エリアだけで22,000平方メートルと書くもの。どれも編集記事であって、主催者の一次発表ではありません。私どもは公式サイトの数字を採り、それ以外は「別の数字もある」とだけ申し添えます。社内の稟議に使う数字は、出どころを1つに決めてください。
あわせて申し上げると、この規模はジャパンエキスポ(2022年に過去最高の25万4,084人)の5分の1ほどです。小さいことは、必ずしも不利ではありません。1社あたりの来場者の滞在時間は、会場が小さいほど伸びます。
3. 主催は、1997年から続くリヨンのアジア文化団体です
運営はASIEXPO EVENTS。1997年からアジアの文化を紹介してきた団体で、現在はフランス最大の見本市運営会社であるGL eventsのグループに入っています。公式サイトのフッターにGL eventsの表記があり、出展申込のページもGL eventsのドメイン(exposant.gl-events.com)で動いています。
つまりジャパンタッチは、愛好家の集まりから始まり、いまは見本市会社の運営に移った催しです。パリ郊外のエピタニメが30年以上ずっと学生団体の運営であるのとは、成り立ちが違います。フランスで最も古いエピタニメの記事と並べて読んでいただくと、フランスの催しの幅が見えてきます。
4. 出展の入口は、2つに分かれています
公式サイトの出展者向けの導線は、次の2つです。
- すでに出展したことがある(J’ai déjà exposé) ログインして継続申込に進む。
- 出展したことがない(Je n’ai jamais exposé) 参加申請フォームに記入する。
初出展は「申込」ではなく「参加の申請」(Demande de participation)という言葉になっています。空いている区画を先着で買う形ではなく、主催者が出展内容を見て可否を決める形だということです。ヨーロッパの文化系の催しでは珍しくありません。
区画の料金は公式サイトに公開されていません。価格表を載せず、申請後の個別見積とする運営が多いためです。ここに書けない数字を推測で埋めることはいたしません。金額が要るときは、申請フォームから主催者に直接お尋ねください。
5. 春にも、もう1本あります
同じ会場で、春にも派生の催しが開かれています。ジャパンタッチ・ハル&ギークタッチ(Japan Touch Haru & Geek Touch)で、2026年は4月25日から26日。2025年の回では370を超える出展者が入り、うち250ほどが若手の作家でした(地元メディアの報道による数字です)。
秋の本体はアジア文化全般、春はポップカルチャーとゲーム寄り。同じ会場に年2回、性格の違う来場者が来るということです。1年のうちどちらに出るかで、会う相手が変わります。
6. パリ集中から全土へ、という記録があります
私(松山)は、デジタルコンテンツ協会のデジタルコンテンツ白書でフランスの章を担当していました。白書2013には、2012年度のフランスで日本のマンガや大衆文化を扱う催しが年間58件あったと記録されています(出典はNautiljon)。これは2012年度の数字であって、現在の件数ではありません。
同じ白書に、もう1つの記述があります。数年前まではパリ開催が大半だったが、フランス全土へ広がった。クレルモン・フェランのように、日本の大衆文化がまだ少なかった地域でも開かれるようになった、と。
リヨンのジャパンタッチは、その流れの中でいちばん大きく育った1つです。出展先をパリだけで考える必要は、もうありません。
7. いちばん多いのは「1回出て、やめる」です
同じ白書2013で、私は山陰国際観光協議会(島根県・鳥取県と各市で構成)が2012年から2013年にかけてジャパンエキスポへ連続出展した事例を現地で取材しました。そのとき書いたのは、成功の話だけではありません。
地方公共団体の出展は、1回で成果が出ずにあきらめる。担当者が代わって情熱が失われる。続かない理由のほうを書きました。これは自治体に限った話ではないと、いまも思っています。
海外の催しは、初回で名刺が集まる場所ではありません。2回目に「去年も来ていたね」と言われて、はじめて話が始まります。ですから決めるべきは、出るか出ないかではなく、2回目を誰が担当するのかです。
8. なぜ、持っていくものがマンガなのか
株式会社アンシャントマンは、フランスのJAPAN EXPO等のマンガ関連イベントに計11回出展してきました。持っていったのはパンフレットではなくマンガです。
理由は、現地の数字がそう言っているからです。フランスの日本マンガの販売部数は、2019年の1,900万部から2024年には3,590万部になりました(Journal du Japon)。映像産業振興機構の調査では、日本に興味を持ったきっかけの第1位がマンガ・アニメ・ゲームで、欧州では75%です。
つまりフランスでは、マンガは日本企業の説明を読ませるための工夫ではなく、相手がもともと好きなものです。会社案内を配ると受け取ってもらう努力が要りますが、マンガは向こうから手が伸びます。
会場が45,000人でも25万人でも、御社のブースの前を通る人数は、そう変わりません。変わるのは、通り過ぎた人が足を止めるかどうかだけです。
よくある質問
Q1. ジャパンタッチとジャパンエキスポは、どう違いますか。
開催地と時季と規模が違います。ジャパンエキスポはパリ北郊で7月、2022年に過去最高の25万4,084人を記録しています。ジャパンタッチはリヨンで11月、公式サイトの表記で45,000人です。運営会社も別です。
Q2. 2026年の日程と会場を教えてください。
2026年11月28日から29日、ユーレクスポ・リヨン(Eurexpo Lyon、リヨン近郊シャシュー)です。春の派生であるジャパンタッチ・ハル&ギークタッチは2026年4月25日から26日、同じ会場です。
Q3. 出展料はいくらですか。
公式サイトに公開されていません。初出展は参加申請フォームからの申請制で、主催者が内容を確認したうえで個別に案内する形です。推測の金額は、この記事には書きません。
Q4. 日本の会社でも出展できますか。
公式サイトの出展者向け導線に国籍の制限は書かれていません。ただし先に述べたとおり参加の申請制ですので、出展内容が催しの趣旨に合うかどうかが判断されます。可否は主催者にご確認ください。
Q5. 視察に行くなら、いつがよいですか。
出展を検討されるなら、秋の本体(11月)です。会場の広さ、区画の作り、来場者の年齢層を一度ご覧になってから決めるほうが、資料を何冊読むより早いと思います。日程は毎年公式サイトで告知されますので、前年の日程で社内の予定を組まないほうが安全です。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
御社が海外の催しに出るとして、2回目の担当者の名前を、いま挙げられるでしょうか。
1回で終わる出展と、続く出展を分けるのはそこでした。いま海外向けにお使いの資料を1点お持ちください。それが人に付いているのか、仕組みに残っているのかを、一緒に読み解きます。
海外向けマンガの実際の取り組みをご覧いただけます。国際マンガの事例を見る
出展先を決める前に、フランスに何種類の場があるのかを知っておく。
参考ブログ
参考実績
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