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フランスで一番古いマンガの祭典は?
1994年、学生が始めたエピタニメ

公開日:2026年8月12日
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1994年、学生が始めたエピタニメ
フランスで一番古いマンガの祭典は? 1994年、学生が始めたエピタニメ

「フランスで日本のマンガのイベントといえばジャパンエキスポ。ではその前は、何もなかったのだろうか」

結論から申し上げます。ありました。エピタニメ(Epitanime)です。パリ郊外の工科系の学校で、学生の団体が開いてきた催しで、その第1回は1994年5月28日から29日。ジャパンエキスポの第1回(2000年)より6年早い。この記事は、2026年8月11日に主催者の公式サイト(epitanime.com/convention.epitanime.com)で確認できた事実だけを並べます。出展のお誘いはいたしません。

1. 主催は、企業ではなく学生の団体です

運営しているのはエピタニメ(Association Epitanime)。フランスの非営利法人(association loi 1901)で、目的は日本文化の振興です。パリ郊外ル・クレムラン・ビセートル(Le Kremlin-Bicêtre)にある情報工学系の学校EPITA・EPITECHの学生団体で、公式サイトには1991年からと書かれています。会場は学校のキャンパスそのものです。

ここで年号を2つに分けておきます。団体としてのエピタニメは1991年から、催しであるコンベンションの第1回は1994年。どちらも正しいのですが、指しているものが違います。

この構図を最初に押さえていただきたいのは、海外出展を考えるときの前提が変わるからです。フランスで最も長く続いてきた日本マンガの催しは、見本市会社がつくった商談の場ではありません。好きな人たちが自分の学校でやってきた場が、30年を超えて残っている。これがフランス市場の土壌です。

2. エピタニメには、催しが3つあります

公式サイトのメニューには、次の3つが並んでいます。日本語の資料には「エピタニメはMatsuri Epitanimeに改称した」と書かれているものがありますが、改称ではありません。同じ団体が別々の催しを3つ持っているだけです。私どもの手元の資料にもその誤りがありましたので、今回あらためて公式で取り直しました。

  1. コンベンション(Convention Epitanime)。5月ごろの週末に開く本体。
  2. マツリ(Matsuri Epitanime)。6月に夜通しで開く催し。
  3. ノクターン(Nocturne)。時季ごとの夜の催し。

以下、単に「エピタニメ」と書くときは団体を指し、催しはこの3つの呼び方で分けます。

3. 名前が3回変わっています。しかも2000年は「Japan Expo」でした

公式の沿革ページに、コンベンションの名称の変遷が記録されています。

  1. 初期はConvention de l’animation à l’EPITA(EPITAのアニメーション大会)。
  2. 2000年6月24日から25日の第8回は「Japan Expo」という名称で開催されました。
  3. 2004年の第12回から現在のConvention Epitanimeになりました。

2000年という年は、いま世界最大級といわれるジャパンエキスポが始まった年でもあります。ただし、この2つがどうつながっているのかを示す記述は、どちらの公式サイトにも見当たりませんでした。ですのでここでは、同じ年に同じ名前が使われていたという事実だけをお伝えします。因果関係は書きません。

海外のイベントを調べていると、この種の「名前が同じだが別物」「名前が変わったが同じ団体」が頻繁に出てきます。パリマンガも旧称のまま書かれた日本語記事が多く残っています。社内資料をつくるときは、必ず主催者の公式サイトで現行の名称を取り直してください。

4. 規模は、6,500人から7,000人です

公式の沿革ページに、コンベンションの来場者数が明記されています。原文は「Elle regroupe chaque année entre 6500 et 7000 visiteurs」、すなわち毎年6,500人から7,000人です。フランス語版ウィキペディアは2009年の第17回について7,000人から8,000人と記載していますが、こちらは公式ではありません。

直近の開催は次のとおりです。

  1. 第26回が2024年5月18日から19日
  2. 第27回が2025年5月17日から18日。土曜9時から日曜16時まで、31時間ノンストップ。

ジャパンエキスポやパリマンガの数万人規模と比べると、けっして大きくはありません。しかし31時間、朝まで、日本のもので遊び続ける6,500人という数字を、小さいと読むか濃いと読むかは、出る側が何をしに行くかで変わります。

5. 正直に書きます。毎年続いてきたわけではありません

公式の沿革一覧を並べると、開催されなかった年がはっきり出てきます。

  1. 1996年は年2回(1月の第3回と6月の第4回)。
  2. 2014年は開催なし(2013年の第21回から2015年の第22回へ飛んでいます)。
  3. 2019年から2023年まで開催なし(2018年の第25回から2024年の第26回へ、5年空いています)。

つまり1994年から2025年までの31年間で、開催は27回。順調に毎年続いた話ではありません。5年止まって、それから戻ってきた話です。

私はこちらのほうが、日本の会社にとって参考になると思っています。止まらなかったことではなく、止まってから戻ってきたことが、この団体の実績だからです。

6. マツリ(Matsuri Epitanime)2026の実際の数字

直近に開催されたマツリについて、公式告知に出ている内容です。

  1. 会期は2026年6月13日の14時から、翌14日の朝6時まで。夜通しです。
  2. 会場は24 rue Pasteur, 94270 Le Kremlin-BicêtreのEPITA・EPITECHキャンパス。
  3. 入場は2部制。昼の部が14時から20時、夜の部が20時30分から翌6時。
  4. 料金は1部あたり前売5.50ユーロ・当日6ユーロ。2部通しで前売11ユーロ・当日12ユーロ。
  5. EPITA・EPITECHの在学生は学生証提示で無料。

コスプレ大会、アフレコ、カラオケ、かるた、将棋、折り紙、ガンプラ、ビデオゲーム、古武道の体験。15時間を超える時間割が組まれています。

7. ただし、企業ブースの区分はありません

正直にお伝えします。出展者として並んでいるのはアーティストスタンド、つまり作家や創作系の区画が中心で、公式に企業向けの出展区分や料金表は掲示されていません。

ですのでこの場は、日本の会社が商談ブースを構える場所ではありませんジャパンエキスポのように出展対象に企業や専門団体が明記されている場とは、性格が違います。

では日本の会社にとって価値がないのか。私はそうは思いません。出るための場ではなく、見に行くための場としてなら、ここより適した場所はそう多くありません。入場料6ユーロで、フランスの十代二十代が日本の何にお金と夜を使うのかを、朝まで見ていられます。

8. 「地方にも広がった」という記録

私(松山)は、デジタルコンテンツ協会のデジタルコンテンツ白書でフランスの章を担当していました。当時の記録から、いまも判断材料になるものを挙げます。

  1. 2012年度、フランスでは日本のマンガや大衆文化を扱うイベントが年間58件記録されていました(白書2013・出典Nautiljon)。これは2012年度の数字であって、現在の件数ではありません。
  2. それまではパリ集中でしたが、クレルモン・フェランなど地方にも開催地が広がりました。大きな会場を取れない規模の会社にも、出る場所の選択肢があるということです。
  3. 白書の取材では、山陰国際観光協議会が2012年から2013年にかけてジャパンエキスポへ連続出展した事例を扱いました。そのとき記録したのは成果ではなく、「1回で成果が出ずあきらめる」「担当者が代わって情熱が続かない」という、続けられない側の理由のほうです。

9. 止まっても戻れる形にしておく

私たちはフランスのJAPAN EXPO等のマンガ関連イベントに、これまで計11回出展してきました。正直に書きます。前半は出ること自体が目的になっていました。

白書に書いた「1回で成果が出ずあきらめる」「担当者が代わって情熱が続かない」は、海外出展でいちばん多い終わり方です。そしてエピタニメも、5年止まりました。止まること自体は避けられないのだと思います。

違ったのは、戻ってこられたことです。続けるより、戻れるようにしておくほうが現実的です。前と、中と、後。この3つが担当者個人ではなく仕組みに残っていれば、間が空いても再開できます。フランスでなぜ日本のマンガがこれほど受け入れられたのかを知っておくことも、その仕組みの一部です。

よくある質問

Q1. エピタニメとジャパンエキスポは同じものですか。

別のイベントです。ただしエピタニメの公式沿革には、2000年の第8回が「Japan Expo」の名称で開催されたと記載されています。両者の関係を示す公式の記述は確認できませんでしたので、この記事では因果関係を書いていません。

Q2. Matsuri Epitanimeとコンベンションは、どう違いますか。

同じエピタニメが運営する別の催しです。コンベンションが5月ごろの週末に開かれる本体、マツリは6月に夜通しで開かれる催し、そのほかにノクターンがあります。改称ではありません。

Q3. エピタニメは何年に始まったのですか。

団体としては公式サイトに1991年からと書かれています。催しであるコンベンションの第1回は1994年5月28日から29日です。年号を使われるときは、団体の話か催しの話かを分けてお書きください。

Q4. 日本の会社が出展できますか。

公式に企業向けの出展区分や料金表は掲示されていません。出展者は作家・創作系の区画が中心です。商談ブースをお考えなら、出展対象に企業が明記されている場をご検討ください。

Q5. 視察に行くとしたら、いつですか。

コンベンションは5月ごろの週末、マツリは6月です。いずれも開催日は毎年公式サイトで告知されますので、前年の日程を前提に社内の予定を組まないほうが安全です。開催されない年もあります。

最後に、ひとつだけうかがわせてください。

御社が海外の催しへの出展を1年見送ったとして、翌年もう一度立ち上げられる状態になっているでしょうか。

エピタニメは5年止まって、それから戻ってきました。いま海外向けに使っている資料を1点お持ちください。それが担当者に付いているのか、仕組みに残っているのかを、一緒に読み解きます。

海外向けマンガの実際の取り組みをご覧いただけます。国際マンガの事例を見る

出展を決める前に、現地で何が起きているのかを見ておく。

参考ブログ

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2026年8月12日

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