
「ジャパンエキスポに出展してみたい。まず、いくらかかるのかを知りたい」
結論から申し上げます。2026年7月29日時点で、公式サイトに出展料金表は公開されていません。出展の申し込みは問い合わせフォームから個別に行う形で、金額はそのやりとりの中で提示されます。ただし、検討に必要な事実のうち、料金以外はかなりの部分が公開されています。この記事では公式サイトで実際に確認できた事実だけを並べます。出展のお誘いはいたしません。
1. 次の開催はいつ、どこか
公式サイト(paris.japan-expo.com)で確認できた内容です。
- 2027年7月8日から11日の4日間。会場はParc des Expositions de Paris-Nord Villepinte(パリ北郊のヴィルパント)。
- 2026年の開催は7月9日から12日で、25周年の回でした。この記事を書いている時点ではすでに終了しています。
- 開場時間は9時45分から18時30分。
会場が同じで時期も7月上旬から中旬に固定されているため、社内の年間計画には乗せやすい部類のイベントです。逆に言えば、毎年ほぼ同じ時期に社内の人員と予算を空けられるかが最初の関門になります。
2. 出展できるのは、どういう相手か
公式の出展案内ページ(Devenir exposant)には、対象が次のように書かれています。
原文は「une société, un organisme professionnel, une association ou un fanzine ayant un lien avec l’Asie」。アジアと関わりのある、企業・専門団体・アソシエーション(非営利団体)・ファンジン、という意味です。
ここで注目していただきたいのは、業種も企業規模も条件に書かれていない点です。マンガやアニメの会社に限る、という書き方にはなっていません。アジアとの関わりがあるかどうかが入口の条件です。日本の中小企業は、文言の上では対象に入ります。
3. 申し込みの流れは3つの手順だけ
公式ページに書かれている手順は、驚くほど簡素です。
- 公式サイトの問い合わせフォーム(paris.japan-expo.com/fr/contact)を開く。
- 「Type de demande(お問い合わせの種別)」の欄でExposant(出展者)を選ぶ。
- 連絡先と、自社がどんな活動をしている会社なのかを書いて送る。
申し込みの締切日は、公式には示されていませんでした。つまり料金は「まず名乗ってから」出てくる仕組みです。逆算すると、フォームに書く「自社が何をしている会社か」の一文が、事実上の一次審査に近い役割を持つことになります。
4. 料金表が公開されていないことを、どう読むか
金額が非公開であること自体は、海外の大型イベントでは珍しくありません。区画の広さ、小間数、会場内のどの位置か、什器を借りるかどうかで総額が変わるためです。個別見積りにせざるを得ない、という理解が自然です。
そのうえで、正直に申し上げておきたいことがあります。インターネット上には金額の記載がいくつか流通していますが、私たちが確認した範囲では、公式サイトを出典とする金額は見つかりませんでした。個人の出展体験談や過去の伝聞と思われるものが中心です。年度も区分も違う数字を予算の根拠にすると、社内での説明が後で崩れます。ですので本記事では金額を書きません。
費用を正確に知る方法は、フォームから問い合わせて、自社の条件で見積りを出してもらうことだけです。ここは他社が代われる部分ではありません。
5. 来場者がいくら払って入場するのかは、公開されている
出展料は非公開ですが、来場者のチケット価格は公開されています。これは出展を検討するうえで、かなり有用な材料です。2026年の一般価格は次のとおりでした。
- 1日券。木曜32ユーロ、金曜30ユーロ、土曜41ユーロ、日曜34ユーロ。
- 2日券58ユーロ、4日通し券107ユーロ。
- 上位パスはZenが169ユーロ、Zen+ Confortが399ユーロ、Ultimateが999ユーロ。
この数字が意味するところは、はっきりしています。来場者は、無料だから通りがかったのではありません。4日通しに107ユーロ、上位パスなら数百ユーロを自分で払い、日程を空けて会場まで来ています。日本の文化に対する熱氣が、そのまま価格として表に出ている場だということです。
ブースの前を通る人が「たまたま来た人」なのか「お金と時間を払って来た人」なのかで、当日の設計はまるで変わります。出展料の多寡より先に、この違いを踏まえているかどうかで結果が分かれます。
6. 数字ではなく、記録として残っているフランス市場の事実
私(松山)は、デジタルコンテンツ協会のデジタルコンテンツ白書でフランスの章を担当していました。当時の記録から、いまも判断材料として使えるものを3つだけ挙げます。
- 2012年度、フランスでは日本のマンガや大衆文化を扱うイベントが年間58件記録されていました(白書2013・出典Nautiljon)。これは2012年度の数字であって、現在の件数ではありません。
- それまではパリ集中でしたが、クレルモン・フェランなど地方にも開催地が広がりました。大きな会場を取れない規模の会社にも、出る場所の選択肢があるということです。
- 山陰国際観光協議会が2012年から2013年にかけてJapan Expoへ連続出展しています。白書ではこの取材の際、「1回の出展で成果が出ずあきらめてしまう」「担当者が代わって情熱が続かない」という、続けられない側の理由まで記録しました。
3つ目が、いちばん申し上げたいことです。うまくいかなかった理由の多くは、出展料の高さではなく1回で判断してしまったことのほうにありました。
7. 出展料を聞く前に、決まっているべきこと
私たちはフランスのJAPAN EXPO等のマンガ関連イベントに、これまで計11回出展してきました。正直に書きます。11回のうち、費用に見合ったかを自分たちの言葉で説明できるようになったのは後半だけです。前半は出ること自体が目的になっていました。見積りの数字は最初から見えていたのに、それを判断できる基準を自分たちが持っていなかった、ということです。
いま同じ相談を受けたら、金額より先に次の3つを決めることをお勧めしています。出展の前に現地の人が読めるものを用意しているか。会期中、言葉が通じない相手に何を見せて足を止めていただくのか。終わったあと、名前を思い出してもらう手段が用意されているか。前と、中と、後。この3つが決まっていれば、見積りが出てきたときに高いか安いかを自社で判断できます。
よくある質問
Q1. 結局、出展料はだいたいいくらなのでしょうか。
公式に公開されていないため、この記事では金額を書けません。金額を明示している情報源は、公式サイト以外のものである可能性が高いとお考えください。確実なのは、問い合わせフォームから自社の条件で見積りを取ることです。
Q2. 日本の中小企業でも出展できますか。
公式に書かれている条件は「アジアと関わりのある企業・専門団体・アソシエーション・ファンジン」です。業種や企業規模による制限は書かれていません。ただし申し込みは選考を伴う可能性があり、通ることを保証するものではありません。
Q3. フランス語ができないと難しいですか。
公式サイトには英語版(paris.japan-expo.com/en)があり、問い合わせも英語で行えます。ただし、やりとりに使える言語について公式の明記は見当たりませんでした。この点は問い合わせの際にご確認ください。
Q4. 2027年の出展募集はもう始まっていますか。
募集の開始日や締切は公表されていません。2026年7月29日に確認した時点では、プロ向けページに2026年のアクレディテーション(取材・業界関係者向け登録)受付終了の表示がありました。出展の問い合わせフォーム自体は、通年で開いています。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
パリの会場で、日本語が通じない相手から「あなたの会社は何をしている会社ですか」と聞かれたとします。手元の資料を指さして、何秒で答えられるでしょうか。
答えが出てこないとしたら、先に決めるのは出展料ではありません。いま海外向けに配っている資料を1点お持ちください。その1枚が現地で何を伝えているかを、一緒に読み解きます。
海外向けマンガの実際の取り組みをご覧いただけます。国際マンガの事例を見る
出展料の前に、現地で何が起きているのかを見ておく。
参考ブログ
参考実績
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