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溶接工の採用で、応募が来ないのはなぜ?
資格の欄より先に、火花の前に立つ初日の不安に答える

公開日:2026年10月8日
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資格の欄より先に、火花の前に立つ初日の不安に答える
明るい臨海の鉄工所で、溶接する新人の手もとを先輩が一緒にのぞき込む場面を背に、作業台に手を添えてこちらへ向き直り微笑んでいるところ。溶接工の応募を決めるのは、初日の不安への答えです

溶接工を募集しているのに、応募が来ない。来ても経験者ではなく、経験者は来ても続かない。そんな状態が続いていませんか。

「資格手当も付けた。給与も近くの工場より高くした。それでも溶接工の採用がうまくいかないのは、なぜなのでしょうか」

溶接工の採用で応募が来ないのは、条件が足りないからとは限りません。溶接を仕事にしようとする方ほど、求人票の条件の前に「入った先で、自分の体と腕が守られるか」を見ています。火花の前に立つ初日、夏の暑さ、思うようにビードが引けない日。その不安に答えが無い求人は、比べられて読み流されます。そしてもうひとつ。通勤圏にいる溶接の経験者の方の多くは、御社の工場の中を知る機会がありませんでした。

以下、溶接工を志す方が応募の前に抱く不安を場面で並べ、それにどう先に答えるか、答えたあとをどう続けていくかまでを書きます。

1. 溶接工を志す方が、応募の前に思い浮かべる場面

溶接の仕事を探す方には、大きく2通りあります。前の工場で溶接をしていた経験者の方と、職業訓練や講習で基本を学び、実務はこれからという方です。どちらの方も、求人票を見ながら、頭の中では次のような場面を思い浮かべています。

  1. 初めての現場で、いきなりトーチを持たされる。材料も溶接機も前の職場と違うのに、初日から一人で本番の製品を任されるのではないか。
  2. 火花とスパッタで、やけどをしないか。保護具はそろっているのか。目を傷めたり、手を焼いたりしたときに、どう扱われるのか。
  3. 夏の工場の暑さに、体がついていけるか。革の前掛けと面を着けたまま、何時間も立ち続けられるのか。休みは取らせてもらえるのか。
  4. ビードが汚い、歪ませた、やり直しになった。そのとき怒鳴られるのか、どこが悪かったのかを一緒に見てもらえるのか。
  5. 資格を取る道筋があるのか。実務が初めてだと正直に言ったら落とされるのではないか。入ったあと、腕が上がるまで待ってもらえるのか。

どれも、求人票の「給与」「資格手当」「週休」の欄には書けないことです。けれども、応募するかどうかを決めているのは、実はこちらの答えのほうです。

2. 条件を上げても、溶接工の応募が来ない理由

条件は、比べられる項目です。給与も手当も休日も、求人サイトでは近くの工場と横に並べられます。上げれば一時的には目立ちますが、近くの会社が同じだけ上げれば、また並びます。条件で選ばれる状態は、条件で離れていく状態でもあります。

一方、前の節で挙げた不安は、比べる材料がどこにもありません。だから、先に答えている会社が1社でもあれば、そこだけが「入った後が想像できる会社」として残ります。製造業の採用課題でも書きましたが、ものづくりの採用で効くのは、設備や待遇の上乗せより、仕事の中身が外から見えることです。

もうひとつの理由は、届く範囲です。求人票は、いま仕事を探している方にしか届きません。通勤圏には、今の工場に小さな不満を抱えながら、まだ探し始めていない溶接の経験者の方がおられます。その方々にとって、毎日前を通っている工場は「何か金属を作っている建物」でしかありません。地元の人は会社を知らないのではなく、知る機会がなかった。中でどんな人が、どんな段取りで溶接をしているのかを見る機会が無かったのです。

3. 不安に先に答える、とはどういうことか

不安に答えるといっても、「未経験歓迎」「丁寧に指導します」と書くことではありません。その言葉はどの求人票にも書いてあり、読む方はもう信じていません。信じていただけるのは、場面です。

たとえば、最初の1週間は端材で練習し、先輩が横で面を上げて一緒にビードを見る。保護具は会社がそろえ、初日に着け方を一つずつ確かめる。夏場は休憩の時刻を決めて、水分を取る間をきちんと取る。やり直しになったときは、まず断面を一緒に見て、角度か速さか電流かを確かめる。資格は、いつごろ、どの順で取っていくのかを入社前に話しておく。こうした、実際に御社でしていることを、その場面ごと見せるのです。

この場面は、社員の方の中にすでにあります。入ったころに怖かったこと、初めてきれいにビードが引けた日に先輩に何と言われたか。それをうかがうと、会社が当たり前だと思っていた習慣が、応募する方には何よりの安心材料だったと分かることがよくあります。

4. 困った日を描いたマンガが、見学の応募を呼んだ例

溶接専門の会社ではありませんが、同じ金属加工の現場で動いた例があります。大阪市港区の前田機械株式会社さまは、大型金属の精密切削機械加工をされています。求人サイトに掲載しても応募がゼロ、という状態からのご相談でした。

一緒に作った採用マンガは、うまくいった日ではなく、困った日を描いています。初日に遅刻してしまった新人に、先輩が「まあ来たんやからええわ」と返す。工具の場所が分からず立ち尽くす新人に「左の棚、3段目やで」と声を掛ける。説明と違うことが起きて戸惑う新人を、「一緒に考えようや」と受けとめる。入る前に抱く不安に、先輩の一言で先に答える形です。

このマンガをポスティングチラシとして会社の周りの地域へ配布し、あわせてハローワークにも展開しました。配布から10日で見学のお申し込みが入り、その後、採用に至っています。

5. 1回配って終わりにせず、続けて何が変わるか

前田機械さまは、いまも採用マンガの第2弾を継続して運用しておられます。不安は1つではないからです。初日の不安に答えたら、次は納期に追われたときの不安、その次は思うように腕が上がらないときの不安。1冊で全部に答えようとすると、どれも浅くなります。話を重ねるごとに、応募する方が想像できる場面が増えていきます。

溶接の仕事は、腕が上がるまでに年単位の時間がかかります。だからこそ、続けて伝えることに意味があります。1期目で「最初の1週間」を見せ、2期目で「初めて資格を取った日」を見せ、3期目で「後輩に教える側になった先輩」を見せる。応募する方は、入社してから数年先の自分の姿まで想像できるようになります。

続けていくことには、社内での意味もあります。社員の方の話をうかがうことは、会社が当たり前にしてきた習慣を、あらためて言葉にし直す場になります。言葉になった習慣は、次に入る方へ渡しやすくなります。そして、見学に来られた方がマンガで読んだ先輩に実際に会い、「本当にこの人だ」と確かめられる。この一致が、入ってからの食い違いを小さくします。

弊社は、マンガを1冊作って納めるのではなく、プロジェクトとして運用しています。配る前には、どの町のどの方に届けるかを一緒に決めます。配っている間は、問い合わせや見学の動きを見ます。配った後は、見学から入社、入社後の定着までをつなぎます。2期目・3期目と話を重ねていく、長く続くお付き合いとして一緒に進めています。

よくある質問

Q1. 溶接の経験者だけを狙えばよいのではありませんか。

経験者の方ほど、前の工場と比べて「保護具はそろっているか」「無理な段取りをさせられないか」を細かく見ています。経験があるから不安が無い、ということはありません。経験者の方にも、実務が初めての方にも、同じ場面の見せ方が効きます。

Q2. 溶接の仕事は地味で、マンガにする話が無いのではありませんか。

派手な話は要りません。応募する方が知りたいのは、やり直しになった日や、夏の暑い日に何が起きるかです。社員の方が「最初はこれが怖かった」と話される出来事が、そのまま物語の芯になります。

Q3. 求人サイトやハローワークへの掲載はやめたほうがよいですか。

やめる必要はありません。求人サイトやハローワークは、いま探している方に届く大切な窓口です。そこに、まだ探していない方の日常へ届く道を足す、という考え方です。

Q4. 工場見学を受け入れる余裕がありません。

見学の前に、マンガで仕事の中身を知っていただいておくと、見学の時間は短くて済みます。来られる方も「何を見に行くのか」が分かっているので、確かめたいことを持って来られます。会社見学を採用につなげる組み立ても、あわせてご覧ください。

Q5. 何から手をつければよいですか。

入社して1年以内の溶接工の方おひとりに、「入る前、いちばん心配だったことは何でしたか」と聞いてみてください。その答えが、いま応募を迷っている方が求人票の中に探している答えです。

最後に、ひとつだけうかがわせてください。

御社の工場で、初めてやり直しを出した新人の方に、先輩はどんな言葉を掛けておられますか。

その一言は、応募を迷っている方がいちばん知りたいことです。まだ外へ届いていないのだとしたら、そこから始められます。

すでに出ている費用に、何が返っていますか。

求人サイトの掲載料、展示会の出展料、広告費。どれも、もう払っている費用です。その額に対して何人採れたのか、何件が商談になったのか。御社の数字を入れると、そのまま出ます。会社名もお名前も要りません。

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入ってからの不安に先に答えるマンガを、社員の方と一緒に作り、地域へ届けるところまで運用しています。採用マンガプロジェクトを見る

御社の場合はどうか、一度お話をうかがうこともできます。30分の面談を予約する

溶接工の応募を決めているのは、資格手当の額より、やり直しを出した日に掛けられる一言です。

2026年10月8日

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