
「求人を出すと、応募はあります。ところが面接の当日、来ません。連絡もつきません。うちには、そんなに魅力がないのでしょうか」
魅力の問題ではありません。応募した時点で、その人はまだ御社を知らないからです。知らないまま応募し、応募したあとで調べ、出てきた条件だけで他社と並べる。その並べ方になった時点で、規模の大きい会社に勝てなくなります。
1. 応募は「決めた」ではなく「候補に入れた」です
求人サイトの応募ボタンは、押すのに30秒もかかりません。1人が同じ日に5社へ押していることも珍しくありません。つまり応募は、こちらが思うほど重い行為ではなくなりました。
採用する側は、応募を受け取った瞬間に「この人は当社に来たいのだ」と読みます。応募した側は、そこまで決めていません。候補に入れただけです。この温度差が、面接当日の空席として現れます。
ですから、面接に来ていただけなかったことは、断られたのではありません。まだ選ばれる手前にいる、というだけのことです。
2. 応募のあとに調べても、出てくるのは条件だけです
応募した人は、面接までのあいだに御社を調べます。そこで何が出てくるかを、いちど自社で試してみてください。社名で検索すると、たいてい出てくるのは事業内容と所在地と設立年、そして求人票に書いたのと同じ条件です。
そこには、働く一日がありません。朝は何時に何から始まるのか。新人はどのくらいで1人立ちするのか。子どもの発熱で早退したとき、周りはどんな顔をするのか。上司はどんな話し方をする人なのか。どれも、その人が本当に知りたいことです。
知りたいことが出てこない場合、人は判断を保留にしません。手元にある材料だけで比べます。手元にあるのは給与と休日と通勤時間ですから、そこで比べられて終わります。給料を上げても応募が来ない理由と、根は同じところにあります。
3. 地元の人は、会社を知らないのではなく、知る機会がなかった
いちばん申し上げたいのは、ここです。
面接に来なかった人は、御社に興味がなかったのではありません。知る機会が一度もないまま、応募の当日を迎えただけです。工場や作業場は道路から中が見えません。看板には社名しか書いていません。取引は法人向けで、近所の人がお客さまになることもない。何一つ悪いことはしていないのに、伝わる回路がないのです。
そして求人は、いま探している人にしか届きません。探し始めたその日に初めて御社を知る人ばかりでは、いつまでも条件の比較から抜けられません。探していない人の日常に、先に会社の姿を置いておく。順番を1つ前にずらすだけで、応募が来たときの相手の温度がまるで変わります。
4. 会社を知るきっかけは、広告より人づてでした
マイナビの2027年卒の調査(調査期間は2026年3月20日から4月5日、有効回答2,800人)では、地元企業を知ったきっかけの1位が「家族や知り合いの勤務先企業の話を聞いたことがある」で44.0%でした。同じ調査で、地元での就職を希望する学生は58.7%、前年より2.3ポイント増えて4年ぶりの増加でした。
これは新卒の学生を対象にした調査ですので、中途採用にそのまま当てはめることはできません。ただ、会社を知る入口が求人広告ではなかった、という点は、中途でも大きくは変わらないはずです。
人づてで先に知っていた人は、応募の時点ですでに御社を見ています。その人は、面接の日に来ます。
5. 面接に来ていただくために、応募より前にできる5つ
どれも、面接の日程調整を工夫する話ではありません。応募より前の話です。
- 働く一日を、場面で見せたものを1つ作る。良い会社ですと書くのではなく、朝の準備から片づけまでを順に見せる
- 社名で検索したときに、その1つが必ず目に入る場所に置く。採用ページの奥に埋めない
- 紙にして、地域へ配る。画面の中のものは人の手を経由しません。鞄に入る大きさにする
- 応募のあとに送る最初の連絡へ、条件ではなく働く場面を1つ添える。日程だけの連絡にしない
- 見学だけで帰ってよい、と先に書いておく。選考に進む約束を、会う前提にしない
4番目と5番目は、今日からでもできます。応募の翌日に届く連絡が日程だけの事務文だと、相手の頭の中では、まだ他社と並んだままです。会う前に1つでも場面が渡っていれば、当日その人は、知っている会社へ行く氣持ちで家を出ます。
6. 大阪市港区の前田機械さまの場合
前田機械さまは、求人サイトに掲載しても応募がありませんでした。ゼロです。条件の問題ではなく、会社の存在が地域に知られていなかったからです。
そこで、工場で働いている場面を採用マンガにして、地域へ配布しました。配布から10日で、見学の応募がありました。そのまま採用に至り、現在は第2弾を継続して運用しています。
会う前に知る機会があると、当日の来場も変わります。アイケイケイさまでは、5名の参加を見込んでいた説明会に、28名が参加されました。会場に足を運ぶかどうかは、案内の文面より前に、その会社をすでに知っていたかどうかで決まっています。
採用ページを作っても応募が来ない理由も、あわせてご覧ください。
よくあるご質問
Q1. 面接の前日にリマインドの連絡をすれば、防げますか。
来ない人のうち何割かは減ります。ただ、それは忘れていた人への手当てです。他社と並べたまま迷っている人には効きません。前日の1通で覆せるほど、比較は浅くありません。
Q2. 応募者が多い会社ほど、来ない人も多いのでは。
数の問題というより、応募の重さの問題です。1人が5社へ応募している状況では、母数を増やしても、来ない人の数が一緒に増えるだけになります。増やす前に、応募の時点で御社を知っている人の割合を上げるほうが、結果として近道です。
Q3. 面接に来なかった人へ、もう一度連絡してよいものでしょうか。
連絡そのものは失礼になりません。ただ、催促にすると次はありません。日程の再提示ではなく、見学だけで構わないという形で、入口を1段低くしてお伝えください。
Q4. どのくらいで変わりますか。
前田機械さまでは、配布から10日で見学の応募がありました。ただ、これを標準の日数としてお約束することはできません。地域の世帯数、業種、時期で変わります。確かなのは、1回で判断しないことです。1回で止めると、地域に残るのは「何か配っていたような氣がする」までで、会社を知った状態にはなりません。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
面接に来なかったあの人は、応募ボタンを押す前に、御社のことをどこで知ったとお思いですか。
思い当たる場所が1つも出てこない場合、そこが最初に手を入れる場所です。ご相談のときは、そのままお持ちください。
働く一日を場面で見せて、探していない人の日常へ先に置いています。採用マンガプロジェクトを見る
面接に来ないのは、断られたのではありません。まだ知られていないだけです。
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