
展示会でブースに立ち寄ってもらえない。配った資料も、その後うんともすんとも言わない。——その原因は、商品力でも説明の下手さでもありません。来場者があなたの会社を「覚えていない」だけです。
結論から言えば、展示会の勝負は当日の熱量ではなく「17社まわった来場者の記憶に、何が残るか」で決まります。
来場者は17社をまわり、資料の9割超は残らない
アペルザの調査(回答413名)によると、来場者が1回の展示会で訪問するブースは平均17社。そして受け取った資料について、94.9%が「すべては保管していない」と答えています。内訳は「必要な資料のみ持ち帰る」が67.6%、「全て持ち帰るが必要なもののみ保管」が32.4%です。(出典:アペルザ調査)
つまり丁寧に作ったパンフレットの大半は、会場を出た時点で選別され、捨てられています。17社の中で「残す1枚」に選ばれなければ、そこで終わりです。
名刺の6割も、動かないまま眠る
渡した名刺も同じです。Sansanの調査(回答1,272名)では、名刺の57.7%が「活用できる状態で管理されていない」とされています。さらに、売り手側で必ずフォローメールを送っている企業は1割未満でした。(出典:Sansan調査)
お互いにフォローしないのですから、当日その場で渡したものが、事実上「最後の接点」になります。
それでも展示会はやめられない
ここで諦めるのは早いのです。才流の調査(回答300名)では、オフライン展示会を「積極的に活用する」43.9%+「今までと同程度」48.7%=9割超が出展を継続しています。(出典:才流 実態調査)
理由は明快です。アペルザの調査では展示会訪問後に56.6%が導入検討を開始し、74.5%が「購買に影響がある」と答えています。買う気のある人が、自分の足で会いに来てくれる場は他にありません。残る課題は「投資対効果がわからない」——つまり記憶に残せていないことです。
物語は、記憶を7倍にする
ここに、60年近く覆っていない実験があります。心理学者Bowerらの研究では、同じ単語リストをただ暗記した群の再生率が13%だったのに対し、単語を織り込んだ物語として覚えた群は93%。約7倍の差が出ました。(出典:Bower & Clark, 1969)
情報は忘れられますが、物語は残ります。スペックの羅列は17社ぶんの記憶に埋もれます。しかし「どんな困りごとを、どう解いた会社なのか」が物語になっていれば、来場者の中で像を結びます。マンガが展示会で効くのは、絵とセリフでその物語を数秒で手渡せるからです。
まとめ
展示会で成果が出ないのは、ブースの場所でも説明の腕でもありません。17社まわられ、資料の94.9%が捨てられ、名刺の57.7%が眠る——その中で記憶に残る形になっていないだけです。物語は記憶を7倍にします。次の出展で渡すものを、スペック表から物語に変えてみませんか。
よくあるご質問
Q. マンガにすると軽く見られませんか?
A. 判断材料が減るわけではありません。伝える順番が「スペックから」ではなく「困りごとから」に変わるだけです。技術の話は、読み進めた先で伝わります。
Q. 何を渡せばいいですか?
A. 全部を渡そうとしないことです。17社の中で残る1枚は、情報量が多い資料ではなく「うちの話だ」と思えた資料です。
Q. どこから始めればいいですか?
A. まず自社のお客さまが実際に困っていたことを1つ選び、それが解けるまでを1本の物語にするところからです。
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