
会議室を押さえ、資料を刷り、社長の話す時間も空けた。求人サイトと自社のページで告知もした。それなのに、申し込みは2件。前の日に1件のキャンセルが入り、当日は空席の並ぶ部屋で、1人の方に向けて説明をする。次の回も同じだったらどうしよう。説明会そのものを、もうやめたほうがいいのではないか。そんな思いで、次の日程を決めかねていませんか。
「会社説明会に人が集まらないのは、なぜでしょうか」
多くの場合、説明会の中身が悪いからではありません。説明会に申し込む前に、御社を知る機会がなかったからです。地元の人は、会社を知らないのではなく、知る機会がなかった。知らない会社の説明会に、自分の休日の2時間を使うのは、とても勇氣の要ることです。
以下、人が集まらない3つの場面、参加をためらう方が抱えている不安、説明会を前・中・後で設計する方法、弊社のやり方、今週できる3つ、の順に書きます。
1. 人が集まらない説明会には、3つの場面があります
集まらない説明会には、決まって同じ場面があります。
- 告知が、いま探している人にしか届いていない。求人サイトや自社の採用ページに日程を載せても、それを見るのは、すでに仕事を探している方だけです。その方々は同じ週に、名前の知られた会社の説明会もいくつも見ています。
- 案内に、日時と場所しか書かれていない。「会社概要・事業説明・質疑応答」と並んだ案内からは、2時間のあいだに何が分かるのかが見えません。行けば何が分かるのかが分からない説明会は、後回しにされます。
- 申し込んだあと、当日まで何も届かない。申し込みから当日まで1週間あれば、その間に別の予定が入ります。御社のことを思い出すきっかけがなければ、前の日に「やっぱりやめておこう」となります。
どの場面も、会場や資料を良くするだけでは変わりません。説明会の当日より前のところで、勝負がついているからです。
2. 参加をためらう方は、こんなことを怖がっています
申し込みの手前で止まっている方の胸の内は、条件の比べ合いだけではありません。知らない会社に一人で行くことへの不安です。
- 参加したら、そのまま選考が始まってしまうのではないか。
- 参加者が自分一人だったら、氣まずくて帰れなくなるのではないか。
- 知らないことを質問したら、評価が下がるのではないか。
- 行ってみて合わないと思ったとき、断りにくくならないか。
- 話を聞いても、自分がそこで働く一日は、結局分からないのではないか。
会社の側から見れば小さな心配でも、参加する方にとっては、申し込みのボタンを押さない十分な理由になります。そして5つ目の不安が残ったままだと、説明会に来ていただいても、応募のあと面接に来られないことにつながります。
3. 説明会は「最初に会う場」ではなく「2回目に会う場」にします
人が集まる説明会には、共通点があります。参加者の多くが、説明会の前に一度、御社の働く姿に触れているということです。
初めて名前を見た会社の説明会に行くのは、知らない人の家を訪ねるのに近い感覚です。けれども、どこかで一度その会社の仕事の場面を読み、先輩の顔を見ていれば、説明会は「あの続きを確かめに行く場」に変わります。行く理由が、説明会の前に生まれているのです。
ですから、説明会の告知を頑丈にするより先に、説明会の前の「1回目」を地域の暮らしの中に置きます。求人を探していない方、そのご家族、地域の学校の先生など、まだ選んでいない方の目に触れる場所です。
4. 説明会は、前・中・後で設計します
説明会を1日の催しとして考えると、当日の準備に力が集まります。けれども参加者の数を決めるのは当日の前で、応募につながるかを決めるのは当日の後です。
前(3週間前から) 働く一日を、先に読んでいただく
説明会の3週間ほど前から、働く姿が分かる読み物を地域に届けます。案内には日時と場所だけでなく、「当日は、この場面の続きを先輩がお話しします」と、行けば何が分かるのかを書いておきます。「参加しても選考には進みません」「お一人でのご参加が多い会です」など、ためらいの理由を先回りして消す一行も添えます。
中(当日) 説明ではなく、場面を確かめていただく
当日は、会社概要の説明を短くし、読んでいただいた場面の現場を見ていただく時間を長く取ります。入社1年目から3年目の社員の方に、「入る前に一番怖かったこと」と「それがどうなったか」を話していただくと、参加者の質問が自然に出てきます。質問しにくい方のために、帰り際に紙で書いて渡せる用意もしておきます。
後(翌日から) 次の一歩を、相手が選べる形にする
説明会の翌日には、お礼と一緒に、当日話に出た場面の続きを届けます。見学、もう一度話を聞く、応募する、の3つから、相手が自分で選べるようにしておきます。急かさないことが、かえって次の一歩を早めます。参加された方の声は、次の回の案内に生かします。
そして1回で終わらせません。1回目の説明会に来られた方の感想が2回目の告知になり、2回目に入社された方の一年が3回目の読み物になります。毎回ゼロから人を集めないことが、2期目、3期目の差になります。
5. 弊社がしていること
弊社は、マンガで「働く一日」を見える形にし、それを説明会の前・中・後に届け続けるプロジェクトを運用しています。
マンガを使うのは、条件では伝わらない場面が伝わるからです。初日に先輩が隣で手本を見せる場面、うまくいかなかった日に声をかけてもらう場面、昼休みの何氣ない会話。読む方はその場面の中に自分を置いて、働く姿を想像します。作る過程では、社員の皆さまに自分の仕事を語っていただきます。社内の皆さまも、読む方も、主体的に関わる形になるので、説明会で話す言葉にも実感がこもります。
アイケイケイさまでは、5名ほどの参加を見込んでいた説明会に、28名の方が参加されました。前と後を比べた倍率ではありません。事前の見込みと、実際に来られた数の差です。
説明会の形ではありませんが、大阪市港区で大型金属の精密切削を手がける前田機械さまは、求人サイトに掲載しても応募がゼロの状態から、採用マンガをポスティングチラシとして地域に配布されました。配布から10日で見学の応募が入り、採用に至っています。現在は第2弾を、一緒に続けて運用しています(前田機械さまの事例)。
どちらも、当日に何か特別なことをしたわけではありません。当日までに、知る機会を作っておいたことが違いでした。
6. 今週できる3つ
- 前回の説明会に来られた方に、「申し込む前、何が一番心配でしたか」と1つだけうかがいます。それが、次の案内に書く一行です。
- 次の説明会の案内に、「当日、何が分かるか」を1行だけ書き足します。日時と場所の上に置いてください。
- 入社1年目から3年目の社員の方に、入る前に怖かったことを3つ書き出していただきます。それが、説明会の前に届ける読み物の種になります。
よくあるご質問
Q1. 告知の回数を増やせば、参加者は増えますか。
増える場合もあります。ただ、同じ場所に何度載せても、届くのはいま探している方だけです。回数を増やす前に、まだ探していない方の目に触れる場所に、一度、働く姿を置いてみてください。
Q2. オンラインの説明会にすれば、集まりやすくなりますか。
移動の手間がなくなるので、申し込みの敷居は下がります。一方で、画面を閉じれば終わるぶん、印象にも残りにくくなります。オンラインでも、事前に読んでいただいた場面の続きを話す形にすると、参加した意味が残ります。
Q3. 参加者が1人や2人の回は、中止したほうがよいですか。
中止しないことをおすすめします。少人数の回は、社員の方とじっくり話せる回です。来られた方に「一人でも来てよかった」と思っていただければ、その感想が次の回の一番の告知になります。
Q4. 小さな会社でも、説明会に人は集まりますか。
集まります。説明会で参加者が見ているのは、会社の大きさより、そこで働く人の様子です。先輩が質問に笑って答えてくれるか、自分の一日が想像できるか。その材料は、会社の大きさに関係なく作れます。
Q5. 説明会に来た方が、応募してくれません。
説明会の翌日から当日の続きを届け、見学やもう一度話を聞く場など、応募より小さな一歩を用意してください。いきなり応募を選ぶのは、来られた方にとって大きな決断です。小さな一歩を重ねるうちに、応募が自然な次の一歩になります。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
次の説明会に来られる方は、その日より前に、御社の働く一日にどこで触れているでしょうか。
すぐに浮かばないなら、会場や資料を整えるより先に、説明会の前に読んでいただける「働く一日」を用意するところから始めてみてください。
説明会の前に知っていただく場面づくりから、当日の場、参加された方の声を次の回へつなぐところまでを、プロジェクトとして運用しています。採用マンガプロジェクトを見る
これまでの説明会のご様子をお聞かせいただければ、御社の場合は何から始めるとよいか、ご一緒に考えます。30分の面談を予約する
参考ブログ
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会社説明会の参加者の数は、当日の前に決まっています。地元の人は、御社を知らないのではなく、知る機会がなかっただけです。説明会を「最初に会う場」から「2回目に会う場」に変え、前・中・後を毎回つなげていってください。


