
工場の採用に動画を作ろうか、と考えておられる方へ。設備の映像、ラインで働く社員の笑顔、ドローンで撮った社屋。どこの会社の採用動画を見ても、同じような絵が並んでいませんか。
「せっかく作るなら、応募につながる動画にしたい。工場の採用動画には、何を映せばよいのでしょうか」
工場の採用動画に映すべきなのは、設備のすごさでも、良い日の笑顔でもありません。応募を迷っている方が頭の中で思い浮かべている「うまくいかなかった日」に、御社ではどう受け止めるのかという場面です。そしてもうひとつ。動画は流れて観られるもので、止まって読まれるものではありません。何を映すかと同じくらい、どこで、どう見ていただくかの設計が要ります。
以下、工場で働くことを考えている方の不安を場面で並べ、それを動画や紙でどう先に答えるか、作ったあとをどう続けていくかまでを書きます。
1. 工場で働くことを考えている方が、応募の前に思い浮かべる場面
工場の求人を見ている方には、大きく2通りあります。別の業種から移ろうとしている未経験の方と、前の工場を辞めて次を探している経験者の方です。どちらの方も、求人を見ながら、頭の中では次のような場面を思い浮かべています。
- 初日、工具の名前も置き場所も分からない。聞いたら嫌な顔をされるのではないか。
- 説明で聞いていた仕事と、実際の仕事が違った。そのとき、誰に相談すればよいのか。
- 納期が迫って、ラインが急かされる。確かめる前に手を動かして、不良を出してしまわないか。
- 自分のミスで、部品をだめにした。言い出したら怒鳴られるのか、一緒に原因を見てもらえるのか。
- 何か月たっても、思うように手が動かない。経験の浅さを理由に、きつく当たられないか。
経験者の方にも同じことが言えます。転職を考える以上、前の職場には何か合わなかったことがあります。その「合わなかったこと」が、次の職場でも起きないかを確かめたいのです。
2. 設備と笑顔の動画では、この不安に答えられない理由
設備の映像は、どの工場でも撮れます。笑顔で働く社員の姿も、どの会社の採用動画にもあります。「働く一日」の密着も、いまは多くの会社が作っています。見る側からすると、どれも良い日の記録で、比べる手がかりになりません。
応募を迷っている方が本当に知りたいのは、良い日ではなく、うまくいかなかった日に何が起きるかです。そこが映っていない動画は、何本観ても「で、自分が失敗したらどうなるのか」という問いが残ったままになります。
もうひとつは、届き方の問題です。動画は、観ようと思った方にしか再生されません。求人サイトや採用ページに置いた動画は、いま仕事を探して、その会社に辿り着いた方にしか届きません。通勤圏にお住まいの方の多くは、御社を知らないのではなく、知る機会がなかっただけです。
3. 流れて観る動画と、止まって読む紙の選び分け
動画が悪いわけではありません。声、手の動き、機械の音、工場の空氣。動画にしか伝えられないものがあります。大切なのは、何をどちらで伝えるかを選び分けることです。
動画が向いていること
現場の音や速さ、人の声の調子。先輩が新人にかける一言を、実際の声で聞いていただく。こうした「雰囲氣」は動画の得意なところです。採用ページや説明会、面接の前に観ていただくのに向いています。
止まって読む物語が向いていること
失敗した日の氣持ちの動き、言い出すまでの迷い、それを受け止めた先輩の言葉。こうした場面は、読む方が自分の速さで立ち止まり、自分ならどうするかを重ねられる形のほうが伝わります。マンガであれば、紙にして地域へ配ることもできます。いま仕事を探していない方の日常に、先に置いておけます。
組み合わせると強い
紙で物語に出会っていただき、氣になった方が動画や見学で現場の空氣を確かめる。入口と確かめの場所を分けておくと、どちらか一方だけよりも、迷いが一つずつほどけていきます。
4. 実際にあったこと(前田機械さま)
大阪市港区で大型金属の精密切削加工をしておられる前田機械さまは、求人サイトに掲載しても応募がゼロの状態から始められました。
前田機械さまの採用マンガは、最初から「うまくいかなかった日」を描いています。第1話は初日の遅刻から始まり、先輩の「まあ来たんやからええわ」で受け止めます。工具の場所が分からない新人には「左の棚、3段目やで」。第2話は「説明と全然ちがう…」から始まり、「一緒に考えようや」で返します。第3話は納期の重圧の中で失敗を申し出た新人に、「ええ判断や。隠すより100倍マシや」と言います。
このマンガをポスティングのチラシとして地域へ配り、ハローワークにも展開しました。配布から10日で見学の応募が入り、採用に至りました。いまは第2弾を作り、継続して運用しておられます。
映っていたのは、設備のすごさではありませんでした。失敗した日に、この会社ではどう受け止めてもらえるのか。応募を迷っていた方が知りたかったのは、そこだったのだと思います。
5. 採用動画を作る前に決めておく4つ
- 誰に向けるかを1人に絞る。未経験で異業種から移る方か、経験者の方か。冒頭で名指しできるほど絞ります。
- その方の不安を場面で書き出す。初日、説明と違ったとき、納期、ミスをしたとき、手が動かないとき。社員の方に「入ったころ、何が怖かったか」を聞くと出てきます。
- 御社ではどう受け止めるかを、実際の言葉で集める。先輩が実際にかけた一言は、作った台詞より強く伝わります。
- どこで出会っていただくかを決める。採用ページで待つのか、地域に配るのか、説明会で見せるのか。届け先が決まると、動画にするか、マンガにするか、両方にするかが決まります。
6. 1本作って終わりにしない
不安は1つではありません。初日の不安に答えたら、次は納期の不安、その次は一人前になるまでの不安。物語をつないで、シリーズで答え続けることで、「この会社なら、うまくいかない日も受け止めてもらえそうだ」という像が少しずつできていきます。
当社は、採用の前・中・後を設計して回すプロジェクト運用者として、お客さまと1年以上、できれば何年も続けてご一緒しています。社員の方に入ったころの話を伺い、物語にし、地域へ届け、反応を見て次の話を作る。社員の方ご自身が自社の受け止め方を言葉にし直すので、社内の空氣も変わっていきます。1期目で見えたことを、2期目、3期目の物語に生かしていきます。
よくある質問
採用動画とマンガは、どちらを先に作ればよいですか?
届け先によります。採用ページや説明会で観ていただくなら動画から、いま仕事を探していない地域の方に先に知っていただくなら、紙にして配れるマンガからが向いています。
工場の採用動画は、何分くらいが適切ですか?
長さより、1本で答える不安を1つに絞ることをおすすめします。不安ごとに短く分けておくと、説明会や面接で必要な1本だけを見ていただけます。
社員が顔出しを嫌がる場合はどうすればよいですか?
マンガであれば、実在の社員の方をそのまま描かずに、職場で実際にあった出来事を物語にできます。顔を出さずに、受け止め方の言葉だけを伝えられます。
作ったあと、何をすればよいですか?
届けた先の反応を見て、次の不安に答える話を作ります。見学や面接で聞かれたことは、次の物語の種になります。
採用の動画や物語をどう組み立てるか、一緒に考えます。まずは状況をお聞かせください。お問い合わせはこちら。採用マンガプロジェクトの考え方はこちらでご覧いただけます。
参考ブログ
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