
「フランスの展示会に一度出てみました。現地の反応は悪くありませんでした。名刺もそれなりに集まりました。ただ、帰ってきてから何も起きず、次の予算を通す理由が社内で作れません。海外は、やはり難しいということでしょうか」
海外だから難しい、ということではありません。一度で終わるかどうかは、現地での反応ではなく、出る前に「帰ってきてからどこへつなぐか」を決めてあったかどうかで、ほとんど決まっています。決めていなければ、反応が良くても終わります。
以下、フランスの催しについて公表されている記録と、弊社が2006年から現地で重ねてきたことを並べます。
1. 一度で終わる理由は、現地ではなく日本側にあります
デジタルコンテンツ協会が発行する「デジタルコンテンツ白書」の2013年版で、弊社代表の松山秀俊が第6章のフランスの項を執筆しています。そこには、日本の自治体がフランスの催しへ出展したものの、一度で終わってしまう理由が記録されています。
予算が付かなかったからではありません。担当の方が異動されると、そこで情熱が途切れる。次の担当の方には、前の年に何が起きたかが引き継がれない。だから一度で終わる、という記述です。実際に山陰国際観光協議会は2012年と2013年に連続して出展されており、続けられた例と続かない例の差が、そのまま白書に残っています。
2. 出展は点です。点のままでは残りません
展示会に出ることは、前と中と後の3つに分かれます。前は、会う前に知っていただくこと。中は、その場で話が成立すること。後は、帰ってからつながり続けること。予算と準備のほとんどは「中」に使われますが、成果が決まるのは「前」と「後」です。
一度で終わった会社さまにうかがうと、たいてい「中」だけを設計しておられます。ブースの大きさ、什器、通訳。どれも要るものですが、それらは当日の3日間で終わります。展示会のあとのフォローをどう組むかは、出る前に決めておく仕事です。
3. フランスの催しは、大きな一つだけではありません
白書2013には、2012年度にフランスで開かれた日本のマンガ・大衆文化に関わる催しが、大小あわせて年間58件あったと記録されています(出典はイベント情報サイトNautiljon、2012年度の数字です。現在も同じ件数という意味ではありません)。
同じ白書は、数年前までパリ開催が大半だったものが、クレルモン・フェランのように日本の大衆文化が比較的少なかった地域にも広がった、と記録しています。異国でこれほど日本のマンガや大衆文化の催しがある国は世界でもまれだ、というのが白書の評価です。
つまり、いきなり最大の催しへ大きな予算で出る以外の道があります。規模の小さい催しから始めて、続けられる形を先に作る。フランスと近隣国の催しの開催時期を一覧にしてありますので、日程から逆算していただけます。
4. 言葉が違う場所では、読まれるものが変わります
会社案内も製品カタログも、日本語を訳しただけのものは、その場で受け取られても持ち帰られません。来場された方は何十というブースを回っておられ、荷物は増える一方です。
残るのは、言葉が分からなくても見て分かるものです。絵で描かれた物語は、通訳を介さずにその場で読まれます。そして家に持ち帰られます。ここが、海外の催しで紙ものを配るときの分かれ目になります。
5. 弊社がフランスで重ねてきたこと
弊社は2006年から2015年までに、ジャパンエキスポをはじめ、パリマンガ、エピタニメ、マンガエキスポなど、フランスの催しへ11回出展しています。大きな年もあれば、小さく出た年もあります。続けたから分かったことのほうが、初回に分かったことより多くありました。
いま弊社がお手伝いしているのは、出展そのものの代行ではありません。出る前・会期中・帰ってからの3つを、一本の線としてお客さまと一緒に運用することです。
Q1. まず一度出てみて、手応えを見てから続けるか決めたいのですが。
その進め方だと、一度で終わる確率が上がります。初回は現地の勝手が分からない分、手応えが小さく出ます。続けるかどうかを初回の手応えで決めると、ほぼ止まります。決めるなら、出る前に「2回目までは出る」と決めておいていただくほうが結果は出ます。
Q2. 小さな催しでも意味がありますか。
あります。来場者数の多さより、御社の相手がいらっしゃるかどうかが大切です。小さな催しは出展料も渡航規模も抑えられるので、続けやすいという利点もあります。
Q3. 現地で何を渡せばよいのでしょうか。
見て分かるものです。絵で描かれた物語、写真の多い冊子、実物のサンプル。翻訳した会社案内だけでは、ほとんど持ち帰られません。
Q4. 帰ってからのつながりは、どう作るのですか。
出る前に決めておきます。連絡先をどう受け取るか、いつ誰が連絡するか、次に何をお見せするか。会期が終わってから考え始めると、熱が冷めた後になります。
Q5. 担当者が代わっても続けられますか。
続けられます。ただし、その年に何をして何が起きたかを記録に残しておくことが前提です。白書に記録された「一度で終わる」理由は、まさにここが引き継がれないことでした。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
もし来年もう一度出るとしたら、御社は今年の何を持っていかれますか。
持っていくものが思い浮かばないとお感じでしたら、そのことをご相談のときにお聞かせください。出展の内容ではなく、続けられる形のほうから一緒に考えます。
出る前から、帰ったあとまでを一本の線にしています。国際マンガプロジェクトを見る
一度で終わるかどうかを決めているのは、現地ではありません。出る前の御社です。
参考ブログ
参考実績


