
フォークリフトの免許を持つ方を募集しているのに、応募が1件も来ない。そんな状態が続いていませんか。
「時給も上げた。資格手当も付けた。それでも来ない。フォークリフトの募集に応募が来ないのは、なぜなのでしょうか」
フォークリフトの募集に応募が来ないのは、条件が足りないからとは限りません。免許を持っている方ほど、条件の前に「入った先で、自分が怖い思いをしないか」を見ています。狭い通路、急かされる出荷の時刻、初めて扱う車両と荷物。その不安に答えが無い求人は、比べられて、読み流されます。そしてもうひとつ。通勤圏にいる経験者の方の多くは、御社の倉庫の中を知る機会がありませんでした。
以下、免許を持つ方が応募の前に抱く不安を場面で並べ、それにどう先に答えるか、答えたあとをどう続けていくかまでを書きます。
1. 免許を持つ方が、応募の前に思い浮かべる場面
フォークリフトの仕事を探す方には、大きく2通りあります。前の職場で乗っていた経験者の方と、講習で免許を取ったばかりで実務はこれからという方です。どちらの方も、求人票を見ながら、頭の中では次のような場面を思い浮かべています。
- 初めての倉庫で、通路の幅も荷の置き場も分からない。前の職場と勝手が違うのに、初日から一人で乗せられるのではないか。
- 出荷の時刻が迫って、急かされる。トラックが待っている、早くしろと言われて、確かめる前に動かしてしまわないか。
- 荷を落とした、ラックに当てた。そのとき、怒鳴られるのか、一緒に原因を見てもらえるのか。
- 講習で乗っただけで、実務は初めて。それを正直に言ったら、面接で落とされるのではないか。入ったあとで軽く扱われるのではないか。
- フォークリフト以外の仕事もどれだけあるのか。ピッキング、検品、積み込みの手積み。説明に無かった仕事が毎日の大半だったら、という心配。
どれも、求人票の「時給」「資格手当」「週休」の欄には書けないことです。けれども、応募するかどうかを決めているのは、実はこちらの答えのほうです。
2. 条件を上げても応募が来ない理由
条件は、比べられる項目です。時給も手当も休日も、求人サイトでは近くの倉庫と横に並べられます。上げれば一時的には目立ちますが、近くの会社が同じだけ上げれば、また並びます。条件で選ばれる状態は、条件で離れていく状態でもあります。
一方、前の節で挙げた不安は、比べる材料がどこにもありません。だから、先に答えている会社が1社でもあれば、そこだけが「入った後が想像できる会社」として残ります。ドライバーの応募が来ない理由でも書きましたが、物流の現場の採用で効くのは、条件の上乗せより、入ってからの不安への答えです。
もうひとつの理由は、届く範囲です。求人票は、いま仕事を探している方にしか届きません。通勤圏には、今の職場に小さな不満を抱えながら、まだ探し始めていない経験者の方がおられます。その方々にとって、毎日前を通っている倉庫は「大きな建物」でしかありません。地元の人は会社を知らないのではなく、知る機会がなかった。中でどんな人が、どんな段取りで荷を動かしているのかを見る機会が無かったのです。
3. 不安に先に答える、とはどういうことか
不安に答えるといっても、「丁寧に教えます」「アットホームな職場です」と書くことではありません。その言葉はどの求人票にも書いてあり、読む方はもう信じていません。信じていただけるのは、場面です。
たとえば、初日は先輩が横に付いて通路を一緒に歩き、荷の置き場を1つずつ見せる。最初の1週間は、出荷の時刻が迫る時間帯には乗らせない。荷を当てたときは、まず「けがは無いか」と聞き、次にどこで見えなくなったのかを一緒に確かめる。実務が初めての方には、空のパレットで旋回の練習から始める。こうした、実際に御社でしていることを、その場面ごと見せるのです。
この場面は、社員の方の中にすでにあります。入ったころに怖かったこと、そのとき先輩に何と言われたか。それをうかがうと、会社が当たり前だと思っていた習慣が、応募する方には何よりの安心材料だったと分かることがよくあります。
4. 困った日を描いたマンガが、見学の応募を呼んだ例
業種は倉庫ではありませんが、同じ考え方で動いた例があります。大阪市港区の前田機械株式会社さまは、大型金属の精密切削機械加工をされています。求人サイトに掲載しても応募がゼロ、という状態からのご相談でした。
一緒に作った採用マンガは、うまくいった日ではなく、困った日を描いています。初日に遅刻してしまった新人に、先輩が「まあ来たんやからええわ」と返す。工具の場所が分からず立ち尽くす新人に「左の棚、3段目やで」と声を掛ける。説明と違うことが起きて戸惑う新人を、「一緒に考えようや」と受けとめる。入る前に抱く不安に、先輩の一言で先に答える形です。
このマンガをポスティングチラシとして会社の周りの地域へ配布し、あわせてハローワークにも展開しました。配布から10日で見学のお申し込みが入り、その後、採用に至っています。
5. 1回配って終わりにせず、続けて何が変わるか
前田機械さまは、いまも採用マンガの第2弾を継続して運用しておられます。不安は1つではないからです。初日の不安に答えたら、次は納期に追われたときの不安、その次は思うように上達しないときの不安。1冊で全部に答えようとすると、どれも浅くなります。話を重ねるごとに、応募する方が想像できる場面が増えていきます。
続けていくことには、社内での意味もあります。社員の方の話をうかがうことは、会社が当たり前にしてきた習慣を、あらためて言葉にし直す場になります。言葉になった習慣は、次に入る方へ渡しやすくなります。そして、見学に来られた方がマンガで読んだ先輩に実際に会い、「本当にこの人だ」と確かめられる。この一致が、入ってからの食い違いを小さくします。
弊社がお手伝いしているのは、マンガを1冊作ることではありません。配る前には、どの町のどの方に届けるかを一緒に決めます。配っている間は、問い合わせや見学の動きを見ます。配った後は、見学から入社、入社後の定着までをつなぎます。2期目・3期目と話を重ねていく、長く続くプロジェクトとして一緒に運用しています。
よくある質問
Q1. フォークリフトの経験者だけを狙えばよいのではありませんか。
経験者の方ほど、前の職場と比べて「ここは安全か」「無理をさせられないか」を細かく見ています。経験があるから不安が無い、ということはありません。経験者の方にも、実務が初めての方にも、同じ場面の見せ方が効きます。
Q2. 倉庫の仕事は地味で、マンガにする話が無いのではありませんか。
派手な話は要りません。応募する方が知りたいのは、荷を当てた日や急かされた日に何が起きるかです。社員の方が「最初はこれが怖かった」と話される出来事が、そのまま物語の芯になります。
Q3. 求人サイトへの掲載はやめたほうがよいですか。
やめる必要はありません。求人サイトは、いま探している方に届く大切な窓口です。そこに、まだ探していない方の日常へ届く道を足す、という考え方です。
Q4. ポスティングは以前やって、反応がありませんでした。
反応がなかったのは、配ったことではなく、配った中身のほうに理由があることが多いです。求人票をそのままチラシにしても、探していない方は読みません。読んで、入ったあとの場面が浮かぶ中身にすることで、同じ配り方でも受け取られ方が変わります。
Q5. 何から手をつければよいですか。
入社して1年以内の方おひとりに、「入る前、いちばん心配だったことは何でしたか」と聞いてみてください。その答えが、いま応募を迷っている方が求人票の中に探している答えです。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
御社の倉庫で、初めて荷を当ててしまった新人の方に、先輩はどんな言葉を掛けておられますか。
その一言は、応募を迷っている方がいちばん知りたいことです。まだ外へ届いていないのだとしたら、そこから始められます。
入ってからの不安に先に答えるマンガを、社員の方と一緒に作り、地域へ届けるところまで運用しています。採用マンガプロジェクトを見る
御社の場合はどうか、一度お話をうかがうこともできます。30分の面談を予約する
フォークリフトの応募を決めているのは、手当の額より、荷を当てた日に掛けられる一言です。
