
若手を採りたくて、求人サイトに出した。ハローワークにも出した。SNSも始めてみた。それでも若い方からの応募が来ない。次はどの媒体に出せばいいのか、と迷っていませんか。
「若手の採用には、結局どの媒体がいちばん効くのでしょうか」
若手の採用で媒体を選ぶときは、どれが効くかの前に、若い方がどんな道筋で会社を知るのかを先に見ます。求人サイトもハローワークもSNSも、それぞれ届く相手と届く時期が違います。1つの媒体に全部を任せるのではなく、若い方が会社を知る道筋に合わせて、役割を分けて組むことが大切です。そしてもうひとつ。地元の若い方は会社を知らないのではなく、知る機会がなかった。媒体に出す前に、その機会をどこに置くかを決めておくと、どの媒体も効きやすくなります。
以下、若い方が会社を知る道筋を5つに分け、それぞれにどの媒体が合うのか、どう続けていくのかまでを書きます。
1. 若い方は、どんな道筋で会社を知るのか
マイナビの新卒の調査(2027年卒の大学生・大学院生・n=2,800・2026年3月20日〜4月5日)では、地元で働きたいと答えた学生が58.7%で、前の年より2.3ポイント増え、4年ぶりに増えました。同じ調査で、将来は地元で働きたいと考えている学生に、高校生までの間に地元の企業を知った機会を聞くと、1位は「家族や知り合いの勤務先企業の話を聞いたことがある」で44.0%でした(出典 マイナビキャリアリサーチLab)。
新卒の大学生・大学院生を対象にした調査で、44.0%は地元で働きたい学生に限った値です。中途の若手の方にそのまま当てはまるわけではありません。それでも、若い方が地元の会社を知る入口が、求人サイトの画面より先に、身近な人の話にあることがうかがえます。
若い方が会社を知る道筋は、おおまかに次の5つに分けられます。
- 家族や知り合いの話から知る。親や親せき、近所の方が「あそこの会社はな」と話すのを聞いて、名前が頭に残る。
- 学校の先生や進路の窓口から知る。高校や専門学校、職業訓練校に届いた求人や、先生の勧めで知る。
- 求人サイトやハローワークで探して知る。仕事を探し始めた方が、条件で絞り込んで見つける。
- SNSや動画で、たまたま知る。探していないときに、流れてきた投稿で会社の様子を見る。
- 会社見学や職場体験で、実際に見て知る。中に入り、働いている人に会って、はじめて自分ごとになる。
2. 媒体ごとに、届く相手と時期が違う
この5つの道筋を、媒体の側から見直すと、それぞれの役割がはっきりします。
求人サイトとハローワークは、3番目の道筋、つまり「いま探している方」に届く窓口です。探し始めた方が条件で比べる場所なので、給与や休日で近くの会社と横に並べられます。広告を止めると、そこで届かなくなります。求人広告を止めた月に応募がゼロに戻る理由も、ここにあります。
学校への求人は、2番目の道筋です。先生が生徒に勧めるとき、先生ご自身が会社の中身を知っているかどうかで、勧め方が変わります。求人票だけでは、先生も「どんな会社か」を語れません。
SNSや動画は、4番目の道筋で、まだ探していない方の目に触れる手段です。ただ、流れていく場所なので、1本で覚えていただくのは難しく、続けて出すことが前提になります。
そして、調査で地元の企業を知った機会の1位に挙がった1番目の道筋、家族や知り合いの話には、出せる媒体がありません。ここに届くのは、家の中で手に取られ、話題にされる物だけです。
3. どの道筋にも共通して足りないもの
5つの道筋を並べると、共通して足りないものが見えてきます。それは、入ったあとの場面です。
若い方が知りたいのは、条件より先に「入ったら、どんな毎日になるのか」です。初日に何をするのか、分からないことを誰に聞けばいいのか、失敗したときにどう扱われるのか。若手の採用でいちばんの課題でも書きましたが、若い方は良い日より、うまくいかない日のほうを想像しています。
求人サイトの欄にも、学校に届く求人票にも、この場面を書く場所はありません。家族が話題にするにも、話の材料がありません。媒体を増やしても応募が来ないのは、どの媒体に出しても、同じ「場面の無い情報」を配っているからです。
だから順番は、媒体を選ぶ前に、入ったあとの場面を1つの物語にまとめることです。物語ができると、同じ物語を道筋ごとに渡し分けられます。家には冊子として届け、学校の先生には説明の材料として渡し、求人サイトには物語への入口を添え、SNSでは1場面ずつ出す。見学の日には、物語に出てきた先輩に実際に会っていただく。
4. 1冊の物語を、地域とハローワークに渡した例
大阪市港区の前田機械株式会社さまは、大型金属の精密切削機械加工をされています。求人サイトに掲載しても応募がゼロ、という状態からのご相談でした。
一緒に作った採用マンガは、うまくいった日ではなく、困った日を描いています。初日に遅刻してしまった新人に、先輩が「まあ来たんやからええわ」と返す。工具の場所が分からず立ち尽くす新人に「左の棚、3段目やで」と声を掛ける。入る前に抱く不安に、先輩の一言で先に答える形です。
このマンガをポスティングチラシとして会社の周りの地域へ配布し、あわせてハローワークにも展開しました。媒体を1つ足したのではなく、1つの物語を、家に届く道筋と探している方に届く道筋の両方に渡したのです。配布から10日で見学のお申し込みが入り、その後、採用に至っています。
5. 1回配って終わりにせず、続けて何が変わるか
前田機械さまは、いまも採用マンガの第2弾を継続して運用しておられます。媒体は、出している間しか届きません。けれども、家の中で読まれた物語は、家族の話の中に残ります。1期目で名前を知っていただき、2期目で別の不安に答え、3期目には「あの会社、また新しいのを配っていた」と話題になる。続けるほど、若い方の身近な人の中に、会社の話ができる方が増えていきます。
続けていくと、媒体の使い方も変わります。どの道筋から見学に来られたかを毎回うかがうと、自社にとってどの道筋が効いているかが分かってきます。翌年は、効いた道筋に物語を厚く渡し、効かなかった媒体を見直せます。地元採用の良さは、こうして地域の中に話の輪が育っていくところにもあります。
弊社は、マンガを1冊作って納めるのではなく、プロジェクトとして運用しています。配る前には、どの道筋のどの方に届けるかを一緒に決めます。配っている間は、問い合わせや見学の動きを見ます。配った後は、見学から入社、入社後の定着までをつなぎます。2期目・3期目と話を重ねていく、長く続くお付き合いとして一緒に進めています。
よくある質問
Q1. 若手の採用には、求人サイトとSNSのどちらがよいですか。
どちらか一方ではなく、役割が違います。求人サイトはいま探している方に、SNSはまだ探していない方に届きます。どちらにも、入ったあとの場面という同じ中身を渡せるかどうかのほうが、効き目を左右します。
Q2. ハローワークは若い方に見られていないのではありませんか。
見る方が限られるのは確かですが、学校や職業訓練校とつながる窓口でもあります。求人票だけで終わらせず、物語への入口を添えておくと、窓口の方や先生が会社を説明しやすくなります。
Q3. 家族に届けるといっても、どうやって届けるのですか。
会社の周りの地域へ、冊子やチラシとして配る方法があります。求人票をそのまま配っても読まれませんが、入ったあとの場面を描いた物語なら、家の中で手に取られ、家族の話題になりやすくなります。
Q4. 媒体にかける費用は、どう配分すればよいですか。
まず、ここ数年の入社の方に「どこで会社を知ったか」をうかがってください。その答えが、自社にとって効いている道筋です。費用は、効いている道筋に物語を厚く渡すところから考えると、無駄が少なくなります。
Q5. 何から手をつければよいですか。
入社して3年以内の若手の方に、「入る前、いちばん心配だったことは何でしたか」と「うちの会社を、最初に誰から聞きましたか」の2つを聞いてみてください。1つ目の答えが物語の芯になり、2つ目の答えが、物語を渡す道筋になります。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
御社の若手の方は、入社の前に、御社のことを誰から聞いていましたか。
その方に渡せる話の材料が、まだ無いのだとしたら、そこから始められます。
入ってからの不安に先に答えるマンガを、社員の方と一緒に作り、地域の家庭や学校、求人の窓口へ届けるところまで運用しています。採用マンガプロジェクトを見る
御社の場合はどうか、一度お話をうかがうこともできます。30分の面談を予約する
若手の採用で選ぶべきなのは媒体の数ではなく、若い方が会社を知る道筋に渡せる、1つの物語です。
