
「チラシを配った。反応はなかった。やっぱりうちの地域では効かない」
結論から申し上げます。効果がなかったのは、配ったからではなく、配ったものが〝広告〟だったからです。求人チラシは、読んだ人がその場で仕事を探していなければ、内容がどれだけ正確でも記憶に残りません。逆に言えば、いま探していない人の記憶に残るものを配れたときだけ、ポスティングは採用に効きます。この記事では、反応がなかった原因を3つに分けて整理し、もう一度配る前に決めておくことをお伝えします。
1. 「効果がない」と感じたとき、実際に起きていること
ポスティングで反応が出なかったとき、原因はたいてい次の3つのどれかです。配布エリアや枚数の問題であることは、実は多くありません。
- 読まれる前に捨てられている。求人チラシだと一目でわかると、他のチラシと一緒に束ねて処分されます。
- 読まれたが、その人はいま仕事を探していなかった。この層がいちばん多く、そして本来いちばん大事な層です。
- 読まれたが、働く姿が浮かばなかった。仕事内容と条件は書いてあるのに、誰と、どんな一日を過ごすのかがわからない。
1回配って反応がないことを「効果がない」と判断すると、いちばん大きい2番目の層を丸ごと捨てることになります。
2. 求人は、いま探している人にしか届きません
求人サイトも、求人チラシも、届く相手は同じです。いま仕事を探している人。探している人は比較します。比較の土俵は給与・休日・通勤時間といった条件です。
条件は、人事の世界でいう衛生要因にあたります。足りなければ不満になりますが、満たしても「この会社で働きたい」という動機にはなりません。そして条件そのもので大手企業に勝つのは、中小企業にとって現実的ではありません。同じ土俵に立った時点で、比較されて終わります。
ポスティングの本当の値打ちは、探していない人の日常に、先に置けることにあります。求人サイトには絶対にできないことです。ここを使わずに求人チラシとして配ると、費用をかけて求人サイトと同じ土俵に立っているだけになります。
3. 地元の人は、会社を知らないのではなく、知る機会がなかった
ここがいちばんお伝えしたいところです。
地元の人は、御社を知らないのではありません。知る機会がなかっただけです。同じ町に住み、前を何度も通り、それでも中で何が作られているかを聞いたことがない。これは知名度の問題ではなく、接点の設計をしてこなかったというだけのことです。
だから、募集を始めてから知ってもらおうとすると間に合いません。募集していない時期に、日常の中へ先に置いておく。そのときに配るものは、求人票ではなく読み物である必要があります。
4. マイナビの新卒調査が示す、知られ方の順番
数字でも同じ傾向が出ています。マイナビの新卒調査(2027年卒対象・回答数2,800・2026年3月20日から4月5日実施)では、次の結果が出ています。
- 地元での就職を希望する学生は58.7%。前年比+2.3ポイントで、4年ぶりの増加です。
- 地元企業を知ったきっかけの1位は「家族や知り合いの勤務先企業の話を聞いたことがある」で44.0%。
この調査は新卒者を対象としたもので、中途採用にそのまま当てはめることはできません。そのうえで、1位が広告でも求人サイトでもなく人づての話だった点は、中途でも実感に合うのではないでしょうか。
人づてで伝わるには、話す材料が要ります。社員が家族に説明できる形になっているか。読んだ人が誰かに話したくなる中身があるか。ポスティングで配るものは、本来そこを担うものです。
5. 応募ゼロだった鉄工所で起きたこと
大阪市港区の前田機械さまの例です。
求人サイトに掲載しても応募がゼロという状態が続いていました。そこで、仕事の内容と働く人の一日をマンガにして、地域へ配布しました。結果として、配布から10日で見学の応募があり、採用に至っています。現在は第2弾を継続して運用中です。
正直に申し上げると、これは一発で当たった話ではありません。配ってすぐ電話が鳴ったわけでもありません。求人票では伝わらなかった〝働く一日〟を、読み物の形にして地域に置いた。それだけのことです。特別な手法ではないぶん、置き続けられるかどうかで差が出ます。
6. もう一度配る前に、決めておく3つ
同じ地域にもう一度配るなら、次の3つを先に決めてください。枚数とエリアを決めるのは、そのあとです。
- 誰に向けて配るのか。いま探している人か、探していない人か。後者を狙うなら、求人票の体裁はやめます。
- 何が伝われば成功なのか。応募数ではなく、「あの会社、こういうことをしているらしい」と思い出してもらえる状態を目標に置きます。
- 何回、どの間隔で置くのか。1回で判断しないと最初に決めておくことが、いちばん効きます。
ポスティングをやめてしまう会社の多くは、効果がなかったのではなく、効果が出る前に判断してしまっただけです。
よくある質問
Q1. 1回配って反応がなければ、続けても同じではありませんか。
配ったものが求人チラシのままなら、回数を増やしても結果は大きく変わりにくいと考えています。先に変えるのは回数ではなく中身です。読んだ人がその場で応募しなくても、会社の名前と中身を覚えて帰れるかが判断の基準になります。
Q2. 何枚くらい配れば効果が出ますか。
枚数から入らないことをお勧めしています。通勤できる範囲を先に決め、その範囲に繰り返し置ける枚数に落とすほうが結果につながります。広く1回配るより、狭く複数回のほうが記憶に残ります。
Q3. マンガにすると、ふざけていると思われませんか。
その心配は当然だと思います。実際には、仕事の内容や安全への向き合い方といったまじめな中身ほどマンガ向きです。文字だけでは読み飛ばされる部分が、絵と会話なら最後まで読まれるためです。
Q4. 求人サイトはやめたほうがよいのですか。
やめる必要はありません。役割が違います。求人サイトはいま探している人に届ける窓口、ポスティングは探していない人に先に知っていただく手段です。片方だけで完結させようとすると、どちらも中途半端になります。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
前回配ったチラシを、御社の社員のご家族が読んだとして、その方は夕食の席で会社の話を誰かにできたでしょうか。
できていないと感じられたなら、次に変えるのは配布エリアではありません。前回配った紙を1枚お持ちください。どこまでが条件の話で、どこからが働く姿の話になっているかを、一緒に読み分けます。
地元での採用に取り組んだ実際の事例をご覧いただけます。採用マンガの事例を見る
配る前に、読まれる形になっているかを確かめておく。
参考ブログ
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