
「日本の製品は品質で負けていないのに、海外ではなぜ伝わらないのか?」
結論から申し上げます。多くの場合、商品説明を翻訳してしまっているからです。海外で先に受け入れられているのは日本の「物語」の方でした。物語という受け皿に商品を載せて初めて、話を聞いてもらえる——それが海外PRでマンガが働く理由です。
日本文化は人気なのに、自社の良さは伝わらない
数字を見ると、日本の物語表現はすでに海外で受け入れられています。日本動画協会によれば、アニメ産業の海外市場は2兆1,702億円で、国内市場1兆6,705億円を上回りました。経済産業省の集計では、コンテンツ全体の海外売上は約5.8兆円に達します。
つまり「日本の物語」への入場券は、すでに配られている状態です。にもかかわらず、多くの中小企業が海外PRで手応えを得られていない。人気なのは日本文化で、自社ではないからです。その2つをつなぐ通路がない——ここが本当の課題だと考えています。
翻訳しても伝わらないのはなぜか
カタログを英訳・仏訳しても反応が薄い。よくあるご相談です。理由は単純で、読み手の文脈が違うからです。日本の現場では説明不要の「困りごと」が、海外の読み手には存在しない、あるいは形が違う。前提が共有されていない説明文は、精度が高くても素通りされます。
しかも、外し方は静かに効いてきます。Gartnerの海外調査(n=632)では、73%が「的外れな発信を送ってくる会社を積極的に避ける」と回答しました。※海外を対象とした調査です。伝わらないだけでなく、避けられる。翻訳の精度を上げる前に、何を語るかを変える必要があります。
マンガが「通訳」として働く3つの理由
- 前提を絵で共有できる。工場の様子、職人の手つき、現場の空氣。文章なら数段落かかる前提が、1コマで伝わります。
- 言語の量を減らせる。セリフは短く、絵が文脈を運びます。多言語展開のコストも下がります。
- 「日本の物語」という既にある入場券を使える。マンガという形式そのものが、海外では手に取ってもらえる理由になります。
ジャパンエキスポに11回出展して、分かったこと
私たちはフランスのジャパンエキスポに11回出展してきました。正直に申し上げると、当初は「日本から来た」だけで人が集まると考えていました。実際は、日本から来たブースは他にもたくさんあります。それだけでは選ばれません。
手応えが変わったのは、自社の説明をやめて、来場者が知っている物語の形に載せ替えてからでした。これは私たちが優れていたという話ではなく、順番を間違えていたことに、11回かけてようやく気づいたという話です。なお、JETROのジャパンブースは中小企業料金が一般料金の半額に設定されています。最初の一歩は、思われているより低いところにあります。
よくある質問
Q1. 英語版マンガを作れば、そのまま欧州でも使えますか?
使える場面は多いですが、絵の中の「当たり前」は国によって変わります。作業服、道路標識、オフィスの風景などです。伝えたい中身によっては、コマの一部を差し替えるだけで通りが良くなります。
Q2. 海外向けは、日本向けと内容を変えるべきですか?
商品は同じでも、入口の困りごとは変えることが多いです。日本で刺さる悩みが、現地では悩みですらないことがあります。ここを合わせるのが一番効きます。
Q3. 展示会に出ないと意味がないですか?
いいえ。Webサイト、現地代理店への説明資料、SNSでも機能します。むしろ出展前に配れる状態にしておくと、当日の会話が変わります。
Q4. どのくらいの分量が現実的ですか?
初めての方には4〜8ページをお勧めしています。長くすると翻訳・現地確認の工数が跳ね上がり、更新できなくなるためです。
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