
「パリ、マルセイユ、リヨン、トゥーロン、ボルドー、ストラスブール、ナント。フランスの地方は一通り見た。では、その先はどうなのだろう」
ブリュッセルです。ベルギーの首都で、メイド・イン・アジア(Made in Asia)という催しが年に2回開かれています。2026年の秋の回は10月17日と18日、ブリュッセル・エキスポです。この催しの出展者一覧には、これまで見てきたフランスの催しには無かった数字が出ています。掲載されている出展397のうち、フランスからの出展が169。開催国ベルギーの103より多いのです。公式サイトで確認できる事実だけを、順に並べます。
1. 開催は2026年10月17日と18日、会場はブリュッセル・エキスポです
公式サイトの全ページ上部に、開催日がそのまま出ています。「LES 17 ET 18 OCTOBRE 2026 À BRUSSELS EXPO」。土曜と日曜の2日間です。会場と運営は次のとおりです。
- 開催日 2026年10月17日(土)と18日(日)
- 会場 ブリュッセル・エキスポ(Brussels Expo)
- 所在地 Place de Belgique 1, 1020 Bruxelles ベルギー
- 開場 土曜は10時から19時、日曜は10時から17時
- 運営 Easyfairs(公式サイトの個人情報の取り扱いに「Made In Asia (Easyfairs)」と明記)
運営が有志の団体ではなく、見本市を本業とする事業者である点は、先に押さえておく価値があります。搬入の段取り、電源、通路、什器の手配。展示会の運営を仕事にしている相手と話すことになります。飲食の出店については、公式サイトが「ブリュッセル・エキスポへ直接お問い合わせください」と窓口を分けています。会場運営と催し運営が別会社である、ということです。
もう1つ、年に2回ある点も押さえておきます。2026年の春の回は2月27日から3月1日の3日間でした。秋の回は2日間です。春と秋で日数が違います。
2. 出展397のうち、169がフランスからです
この催しの公式サイトには、出展者の一覧が公開されていて、国で絞り込めるようになっています。2026年8月27日の時点で、掲載は397件。国別の内訳は次のとおりです。
- フランス 169
- ベルギー 103
- オランダ 67
- ドイツ 12
- イタリア 5
- ギリシャ 4
- ポーランド 3
- オーストリア、フィンランド、ハンガリー、ルクセンブルク 各2
- オーストラリア、カナダ、コロンビア、チェコ、ジョージア、ラトビア、リトアニア、メキシコ、ポルトガル 各1
ここに挙げた20の国と地域の合計は380です。残る17は、絞り込みの一覧が「さらに表示」で畳まれている国の分で、画面には出ていません。数えられた範囲の数字である、とお断りしておきます。
それでも、読み方は1つです。開催国はベルギーなのに、いちばん多く出ているのはフランスの事業者です。フランスの地方の催しに出ている作り手が、そのままブリュッセルにも出ている。国境は、出展する側にとって壁になっていません。フランスで場数を踏むということは、そのままベルギーとオランダの棚に手が届くということでもあります。
3. 出展の中身は「マンガ」より「アートとグッズ」です
同じ一覧は、扱う品目でも絞り込めます。1つの出展が複数の品目に登録されているため、合計は397を超えます。多い順に並べます。
- アート・装飾 125
- ポスター・プリント 88
- アニメ 74
- フィギュア・スタチュー・玩具 47
- 衣類・Tシャツ 45
- ゲーム 24
- コスプレ 21
- レプリカ・小道具 17
- コミック・マンガ・書籍 16
- トレーディングカード 14
- 飲食 12
マンガの祭典と聞いて、本や雑誌が平積みになった場を思い浮かべると、外れます。コミック・マンガ・書籍は16です。いちばん多いのはアート・装飾の125、次がポスター・プリントの88。つまり来場者は、読むために来るのではなく、持ち帰るために来ています。
ここは、日本の会社が何を持っていくかを決めるときに効きます。自社のマンガを冊子にして配るだけでは、この場では埋もれます。手元に残る形、飾れる形、身につけられる形。同じ絵でも、渡し方の設計が要ります。
4. 出展の区分は4つ。料金は公開されていません
出展の申し込みは、公式サイトの出展者向けページにある問い合わせフォームからです。そこで最初に選ぶ区分が、4つに分かれています。
- 事業者(Professionnel)
- 個人(Particulier)
- アーティスト・若手クリエイター(Artiste / jeune créateur)
- ゲーム関連の企業・スタジオ(Entreprise / studio gaming)
区分は公開されていますが、区画の広さも料金も公式サイトには載っていません。フォームに記入すると営業担当から返答がある、という形です。出展の条件を記した文書は、出展者向けページから配布されています。
料金の相場を推測して書くことはしません。書けば、それが独り歩きするからです。具体的に検討される場合は、公式の出展者フォームから直接お尋ねください。
参考までに、来場者の入場料は公開されています。土曜が34.5ユーロ、前売の最安が27ユーロで2026年10月16日まで。日曜が32.5ユーロ、前売の最安が26ユーロ。優先入場のファストパスが土曜54.50ユーロ、VIPが118.50ユーロ。11歳未満は無料です。入場料の水準は、その場に集まる人がどれくらい本氣かを測る目安になります。
5. 2026年の招待作家は、咲坂伊緒さんです
秋の回の招待作家として、公式サイトが咲坂伊緒さん(Io Sakisaka)の登壇を発表しています。10月17日と18日の2日間です。公式の発表から、事実だけを拾います。
- フランス語圏での版元はカナ社(éditions Kana)で、今回の招へいはカナ社の協力によるもの
- カナ社から出ている同氏の作品は、フランス語圏で累計100万部を超えたと公式が記している
- 代表作として『アオハライド』『ストロボ・エッジ』などが挙げられている
ここにも読み方が1つあります。会場はベルギーですが、招待作家を連れてくるのはフランス語圏の版元です。公式サイトはフランス語・オランダ語・英語の3言語で用意されていて、既定はフランス語です。地図の上では別の国ですが、言葉の上ではパリもブリュッセルも同じ市場だ、ということです。
秋の回は、Heroes World という大きな催しの一部門として開かれます。入場券はメイド・イン・アジアの区画だけでなく、Heroes World の全体に有効だと公式が案内しています。主催者は、ベネルクスで最大のポップカルチャーの催しだと説明しています。この規模の表現は主催者のもので、第三者が数え直したものではありません。
6. 白書が記録した「フランス全土への広がり」の、その先
弊社代表の松山は、デジタルコンテンツ協会の白書でフランスのマンガ事情を担当し、現地取材を重ねてきました。2013年版には、それまでパリ中心だった催しがフランス全土へ広がったという記録が残っています。同じ白書に、2012年度のフランスではマンガ関連の催しが年間58件あったという記録もあります(出典はNautiljon)。これは2012年度の数字であって、現在も58件という意味ではありません。
白書が書き留めたのは、フランス国内の広がりまででした。その先に何が起きていたかは、いまの出展者一覧が教えてくれます。広がりは国境で止まらず、ベルギーとオランダの催しに、フランスの作り手がそのまま出ています。
時期で並べると、秋は選択肢が重なります。10月にボルドーのアニマジアがあり、同じ10月にブリュッセルがあり、11月にリヨンとナントが続きます。全部に出るのは、人手の面でも荷物の面でも現実的ではありません。1つ選ぶことになります。
弊社自身は、フランス・JAPAN EXPO等に11回出展してきました。11回のあいだに分かったことを、ひとつだけ申し上げます。初回で成果が出た年はありません。同じ場所に続けて立っていることが伝わったときに、相手のほうから声がかかりました。1回だけ遠くへ行くより、届く範囲で続けるほうが、結局は早いのです。
よくあるご質問
Q1. 出展料はいくらですか。
公開されていません。2026年8月27日の時点で、公式の出展者向けページには区分と問い合わせフォームがあるだけで、区画の広さも料金も掲示されていません。フォームから直接お尋ねいただく形になります。相場の推測は、この記事では書きません。
Q2. 来場者は何人ですか。
公式サイトに来場者数の記載を見つけられませんでした。主催者は「ベネルクス最大のポップカルチャーの催し」と説明していますが、これは規模の表現であって、数えられた人数ではありません。ナントのアート・トゥ・プレイのように第三者の監査値が公開されている催しとは、そこが違います。数字が要る場面では、監査値のある催しと使い分けてください。
Q3. 日本の会社でも出られますか。
出展の区分に「事業者」があり、日本からの出展を排除する記載はありません。ただし料金と区画が非公開のため、まずフォームで条件を確かめる形になります。公式サイトはフランス語・オランダ語・英語の3言語で、英語でのやり取りが可能です。
Q4. フランスの催しと、どちらを選べばいいですか。
目的によります。規模と話題性ならパリのジャパンエキスポです。数字の確かさならナントで、第三者の監査値を稟議に載せられます。ブリュッセルの強みは別のところにあります。フランス169、ベルギー103、オランダ67と、1回でフランス語圏とオランダ語圏の両方に手が届くことです。言語を2つ用意する準備があるなら、ここは効率が良い場所です。
Q5. 持っていくものは何を用意すればいいですか。
出展の中身がヒントになります。コミック・マンガ・書籍は16、アート・装飾は125、ポスター・プリントは88です。読ませる冊子だけでは埋もれます。手元に残る形、飾れる形を1つは用意してください。マンガを作ることと、その場で渡す形に落とすことは、別の仕事です。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
御社が海外の催しに1度だけ出るとしたら、その日に配るものは、来場者の手元に何日残る形になっていますか。
いま海外向けにお使いの配りものを1点、ご相談のときにお持ちください。
海外向けマンガの実際の取り組みをご覧いただけます。国際マンガの事例を見る
国境は、出展する側にとって壁になっていません。壁になるのは、渡すものの形です。
参考ブログ
参考実績


