
「パリ、マルセイユ、リヨン、トゥーロン、ボルドー。フランスの西側には、出る場所はないのだろうか」
ナントです。フランス西部の港町で、アート・トゥ・プレイ(Art to Play)という催しが毎年11月に開かれています。2026年は11月14日と15日の2日間、ナント見本市会場です。この催しには、フランスの他の日本文化イベントには無いものが1つあります。来場者数と出展者数が、第三者機関の監査を受けて公開されていることです。公式サイトと監査機関の公表値だけを、順に並べます。
1. 開催は2026年11月14日と15日、会場はナント見本市会場です
公式サイトのトップに、開催日がそのまま出ています。「14-15 novembre 2026」。土曜と日曜の2日間です。会場と運営は次のとおりです。
- 開催日 2026年11月14日(土)と15日(日)
- 会場 ナント見本市会場(Parc des Expositions de Nantes) 通称ラ・ボージョワール
- 所在地 Nantes フランス
- 運営 エクスポナント(EXPONANTES) ナント見本市会場を運営する事業者
- 開始 2011年から続く催し
運営がイベント企画の団体ではなく、見本市会場そのものを運営する事業者である点は、先に押さえておく価値があります。搬入の段取り、電源、通路の幅、什器の手配。展示会の運営を本業にしている相手と話すことになります。フランスの日本文化イベントは、有志の団体が会議場を借りて開く形が多く、この形は多数派ではありません。
2. フランスには、来場者数を第三者が監査する仕組みがあります
展示会の来場者数は、主催者発表であることがほとんどです。日本でもそうですし、フランスの日本文化イベントも、ほとんどが主催者側の数字です。ところがフランスには、その数字を第三者が数え直して認証する機関があります。
- 機関 OJS(Office de Justification des Statistiques)
- 認証の名称 Expo’Stat
- 公開されるもの 来場者数、出展者数、純展示面積
アート・トゥ・プレイは、このOJSの認証を受けて数字を公開しています。フランスの日本文化イベントの中では、これはかなり珍しいことです。出展を検討する側から見ると、意味は1つです。会いたい相手が何人来る場所なのかを、主催者の言い値ではなく、監査された数字で確かめられます。
3. 監査された数字は、3年分が公開されています
OJSが公開しているアート・トゥ・プレイ・ナントの認証値は、次のとおりです。
- 2024年 来場30,719人 出展201社 純展示面積5,949平方メートル
- 2023年 来場31,730人 出展173社 純展示面積5,859平方メートル
- 2022年 来場34,272人 出展147社 純展示面積5,606平方メートル
読み方を2つ、お伝えします。1つは、来場者数が3万人台で安定していることです。もう1つは、出展者数が3年で147から201へ増えているのに、純展示面積はほとんど変わっていないことです。同じ広さに、より多くの出展者が入っています。1社あたりの区画は、年々小さくなっている計算になります。
これは出展を考える側にとって、良い知らせでもあり、悪い知らせでもあります。小さい区画でも出られるようになった一方で、隣との距離が近くなり、埋もれやすくなっています。広さで目立つことは、この会場では年々難しくなっています。
4. 出展料は公開されていません
出展の申し込みは、公式サイトの出展者ページから行う形です。ただし2026年の回については、この記事を書いている2026年8月24日の時点で、出展者ページに「この版には該当しません」という趣旨の表示が出ており、区分も料金も掲示されていません。お知らせ欄に、アーティスト向けの登録案内が出ているだけです。
料金の相場を推測して書くことはしません。書けば、それが独り歩きするからです。具体的に検討される場合は、公式サイトの問い合わせから、出展(Exposer)の窓口へ直接お尋ねください。
ただし、時期の目安は申し上げられます。フランスの催しは、出展区分の受付が開催の半年から10か月前に閉じることが珍しくありません。11月の回に出たいなら、前の年の冬から春には動き出しておく必要があります。
5. 白書が記録した、フランスの「地方への広がり」
弊社代表の松山は、デジタルコンテンツ協会の白書でフランスのマンガ事情を担当し、現地取材を重ねてきました。2013年版には、それまでパリ中心だった催しがフランス全土へ広がったという記録が残っています。日本の大衆文化があまり多くなかった地域でも開かれるようになった、という趣旨です。
同じ白書に、2012年度のフランスではマンガ関連の催しが年間58件あったという記録もあります(出典はNautiljon)。これは2012年度の数字であって、現在も58件という意味ではありません。
ナントは、その「広がった先」の西の端にあたります。パリから鉄道でおよそ2時間。ブルターニュとロワールの入口にあたり、ボルドーともリヨンとも客層が重なりません。
6. 時期で並べると、11月はリヨンとナントが重なります
フランスで日本文化の催しに出ようとするとき、選択肢は1つではありません。時期で並べると、こうなります。
- 2月から3月・マルセイユ ジャパンエキスポ・シュッド
- 4月・トゥーロン マング・アジュール
- 7月・パリ北郊ヴィルパント ジャパンエキスポ。規模が最大で、出展区分と料金が公開されている
- 10月・ボルドー アニマジア。南西部の入口
- 11月・リヨン ジャパンタッチ
- 11月・ナント アート・トゥ・プレイ。西部の入口で、監査された数字が公開されている
11月にリヨンとナントが並びます。両方に出るのは、人手の面でも荷物の面でも現実的ではありません。どちらかを選ぶことになります。選ぶ材料として、ナントには第三者の監査値があり、リヨンにはありません。社内の稟議に出典を付けて出せるかどうかで選ぶなら、ナントです。
弊社自身は、フランス・JAPAN EXPO等に11回出展してきました。11回のあいだに分かったことを、ひとつだけ申し上げます。初回で成果が出た年はありません。同じ場所に続けて立っていることが伝わったときに、相手のほうから声がかかりました。
よくあるご質問
Q1. 出展料はいくらですか。
公開されていません。2026年8月24日の時点で、公式の出展者ページは当該の版を扱っていない旨の表示になっており、区分も料金も掲示されていません。公式の問い合わせ窓口へ直接お尋ねいただく形になります。相場の推測は、この記事では書きません。
Q2. 来場3万人という数字は、信用できますか。
フランスのOJS(統計認証機構)がExpo’Statとして認証した数字です。主催者発表ではなく、第三者が数え直して公開しているものです。フランスの日本文化イベントの中では珍しく、資料に載せるときも出典を書けます。
Q3. 日本の会社でも出られますか。
会場を運営するエクスポナントが、出展の窓口を公式サイトに置いています。日本からの出展を排除する記載はありません。ただし2026年の区分が掲示されていないため、まず窓口へ条件を確かめる形になります。
Q4. パリのジャパンエキスポとどちらがいいですか。
目的によります。規模と話題性ならパリです。ただしパリは出展者が800社を超え、埋もれる危険も大きくなります。ナントは2024年の認証値で出展201社。絶対数はパリの4分の1ほどです。1人あたりの会話数を増やしたい段階なら、ナントのほうが向いています。
Q5. 同じ11月のリヨンと、どちらを選べばいいですか。
数字の確かさで選ぶならナントです。監査値が公開されており、社内の稟議に出典を付けて出せます。来場の規模で選ぶならリヨンのジャパンタッチのほうが大きいと伝えられていますが、こちらは監査された数字ではありません。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
御社が出展先を数字で選ぶとしたら、主催者発表と、第三者が監査した数字と、どちらを社内の稟議に載せますか。
監査値を出せる場所は、フランスでも多くありません。いま海外向けにお使いの資料を1点、ご相談のときにお持ちください。
海外向けマンガの実際の取り組みをご覧いただけます。国際マンガの事例を見る
規模で選ばずに、確かめられる場所で選ぶ。それが11回で分かったことです。
参考ブログ
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