
「パリ、リヨン、マルセイユ、トゥーロン、ボルドー、ストラスブール、ナント、トゥールーズ。フランスの主な都市は一通り見た。パリと南の間、ロワールの街には出る場所はないのだろうか」
あります。トゥールのジャパン・ツアーズ・フェスティバルです。会場はパルク・エクスポ・ド・トゥール。公式サイトは、来場2万1010人、出展407という数字を表紙に掲げています。そして次回を2027年と告知しています。つまり、いま動き始めれば、準備に1年以上を使えるということです。公式に確認できる事実と、出典のはっきりした記録だけを順に並べます。
1. 公式が掲げている数字は、来場2万1010人と出展407です
公式サイトの表紙に、4つの数字が並んでいます。
- 来場者 21,010人
- 出展者 407
- 企画 773
- 招待ゲスト 173
ここで1つ、正直に申し上げておくことがあります。この4つの数字に、公式サイトは開催年を添えていません。直近の開催の実績と読めますが、何年のものかは公式からは特定できませんでした。ですので本稿では「公式が掲げている規模」としてだけ扱い、何年の数字とは書きません。数え方の分からない数字を、確かなもののように書かないためです。
そのうえで、規模の見当だけは付きます。来場2万人台、出展400台。パリのジャパンエキスポのような十数万人規模ではありませんが、地方の中核都市の催しとしては小さくありません。出展者が400を超えるということは、通路が複数あり、来場者が半日から1日かけて歩く広さがあるということです。
2. 会場はパルク・エクスポ・ド・トゥールです
会場は、トゥールの見本市会場であるパルク・エクスポ・ド・トゥール(Parc Expo de Tours)です。市民会館や大学の校舎を借りる形ではなく、見本市のための建物で開かれます。これは出展を考える側にとっては実務的な意味があります。
- 荷物の搬入口と動線が、はじめから見本市用に作られている
- 電源・什器・回線の手配が、会場側の仕組みに乗せられる
- 区画の考え方が、日本の見本市と大きくは違わない
トゥールはロワール川の流域にある街です。パリの南西、フランスの中央部にあたります。ロワールの古城群への玄関口として、日本からの観光でも名前を聞く地域です。パリから見れば地方ですが、フランスの中では人の集まる位置にあります。
3. 次回は2027年です。準備に1年以上あります
公式サイトは、表紙と末尾の2か所に「Rendez-vous en 2027」と掲げています。2027年にお会いしましょう、という意味です。裏を返せば、2026年の回はすでに終わっているということです。
この「終わったばかり」という状態を、私どもはむしろ好機だと受け取っています。理由は1つです。海外の催しに出て成果が出ない会社の大半は、準備の時間が足りないまま当日を迎えているからです。3か月前に出展を決め、パンフレットを英訳し、当日は通訳を1人立てる。これで足りるなら苦労はありません。
次回まで1年以上あるということは、次の順番で進める時間があるということです。
- 誰に会いたいのかを決める(買ってくれる相手か、代理店か、報道か)
- その相手が足を止める理由を作る(言葉が分からなくても筋が追えるもの)
- 当日その場で何を起こすかを決める(渡すだけで終わらせない)
- 帰国後に誰が何日以内に連絡するかを、出る前に決めておく
4. 出展の入口は、公式サイトの出展者ページです
出展を検討する場合の入口は、公式サイトの出展者向けページです。確認できた事実は次のとおりです。
- 出展者向けのページがあり、そこから専用の申込ポータルへ進む形になっている
- 出展料は公式サイトには掲示されていない。問い合わせて見積もりを取る形である
- 対象は、日本、マンガ、コスプレ、テレビゲーム、ボードゲームに関わる企業と団体である
- 申込期限、区画の広さ、設備の内訳は、公式サイトには記載がない
出展料が公開されていないこと自体は、フランスの催しでは珍しくありません。区画の位置と広さで金額が変わるためです。金額を知りたい場合は、希望する広さと扱う商材を書いて問い合わせるのが早い順路です。なお、公式サイトには出展の窓口となる担当者の連絡先も掲載されていますが、個人の携帯番号にあたるため、ここには転記しません。公式サイトの出展者ページからご確認ください。
5. 1年の準備期間を、何に使うか
ここからは、公式の事実ではなく、私どもが現場で見てきたことです。
私どもの代表は、デジタルコンテンツ白書のフランスの章を執筆しました。その取材のなかで、日本の自治体がジャパンエキスポへ2012年から2013年にかけて連続出展した事例を扱っています。白書には、成果が出る前にやめてしまう理由まで書かれています。1回の出展で成果が出ずにあきらめること。担当者が代わって情熱が引き継がれないこと。この2つです。
裏返せば、続けられる形にしておけば、それだけで抜けられるということでもあります。1年以上の準備期間は、パンフレットを訳す時間ではなく、続けられる形を社内に作る時間だとお考えください。
私どもは、フランスのジャパンエキスポ等へ累計11回出展してきました。毎回痛感するのは、ブースの前で足が止まるかどうかは、掲げた説明文の正確さでは決まらないということです。言葉が分からない人が、絵だけで筋を追えるかどうかで決まります。読ませる資料より、見て分かる物語のほうが、通路では強いのです。
よくある質問
Q1. パリのジャパンエキスポと、どちらに出るべきですか。
比べるものではないと考えています。人数はパリが桁違いに多く、費用も競争も比例して重くなります。トゥールは来場2万人台で、はじめての海外出展で「自社の物語が現地で通じるか」を確かめるには、むしろ扱いやすい規模です。試す場と、勝負する場を分けてお考えください。
Q2. 次回の正確な日程はいつですか。
本稿の執筆時点では、公式サイトに「2027年」としか掲示されていません。月日は告知されていませんので、ここには書きません。日程が出たら動くのではなく、日程が出るまでの間に社内を決めておく、という順序をおすすめします。
Q3. マンガやアニメと関係のない業種でも出られますか。
公式が挙げている分野は、日本、マンガ、コスプレ、テレビゲーム、ボードゲームです。食品・工芸・機械といった業種そのものは並んでいません。ただし「日本」が最初に挙がっている点は見逃せません。自社の商品を日本文化の文脈に置き直せるかどうかが判断の分かれ目です。判断に迷う場合は、問い合わせの段階で扱う商材を明記して確認してください。
Q4. 1年もあると、社内で忘れられませんか。
これは本当によく起こります。ですので、出展の可否を決める日と、社内で担当を決める日を、先に予定表へ書き込んでしまうことをおすすめします。白書に書かれていた「担当者が代わって情熱を失う」は、決めていなかった会社に起きています。
Q5. 何を持っていけばよいですか。
マンガ、コスプレ、テレビゲームが同居する催しです。文字量の多い会社案内は、隣の賑やかな区画に埋もれます。言葉が分からなくても絵だけで筋が追えて、手に取って持ち帰れる形のものを1つご用意ください。翻訳の前に、絵で伝わるかどうかが先です。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
2027年の出展を、御社は誰の担当として決めますか。
その1人の名前を、ご相談のときにお聞かせください。
海外向けマンガの実際の取り組みをご覧いただけます。国際マンガの事例を見る
1年あるのではありません。1年しかない、と決めた会社だけが間に合います。
参考ブログ
参考実績


