
「手元の一覧にブリュッセルのジャパンエキスポが載っています。調べたら、もう開かれていないようです。この街はもう外してよいのでしょうか」
外さないでください。ジャパンエキスポ・ベルギーは3回で終わっています。ただしその会場には、12年3か月あとの2026年2月、別の運営会社が新しい催しを立てました。同じ床に、別の名前が乗っています。
先に、人に話したくなる事実をひとつ置きます。3回で終わった催しの、その同じ床に、12年3か月後、別の運営会社が新しい催しの線を引き直しました。会場は残っていたのです。
お手元の一覧に載っている催しの名前で検索するのを、一度やめてみてください。代わりに、会場の名前で検索します。終わった催しの跡地に、別の名前が立っていることがあります。
以下、公式に出ている事実と、公式には出ていない事実を分けて並べます。確認日は2026年9月7日です。
1. ジャパンエキスポ・ベルギーは、3回で終わっています
まず、終わり方から見てください。数字が残っています。
- 第1回 2011年11月4日から6日 トゥール・エ・タクシー 来場23,000人超
- 第2回 2012年11月2日から4日 同会場 来場28,000人超
- 第3回 2013年11月1日から3日 同会場 来場は約33,000人
- 2014年 開催なし
- 2015年10月31日から11月2日の開催が予告されていたが、2014年12月1日付で公式サイトに出た告知により、2015年の中止と、催しそのものの終了が告げられた
この経緯は、フランス語版ウィキペディアのジャパンエキスポの項が、公式サイトの告知を引くかたちで記録しています。来場者数も同項の記載です。主催の発表であって第三者が監査した数字ではありませんので、そのつもりでご覧ください。
目を引くのは、3回とも来場が増えていることです。23,000から28,000、そして33,000。減っていません。それでも終わりました。終わった理由は、公表されていません。
2. 弊社代表が、この街を一覧に書いていました
弊社代表の松山は、デジタルコンテンツ白書の第6章フランスを執筆しておりました。2013年版の一覧には、ブリュッセルの催しとしてメイド・イン・アジアとジャパンエキスポ・ベルギーの2つが載っています。第3回が開かれた、まさにその年の記録です。
その一覧を13年後にそのまま使うと、片方は存在しない催しになります。これはブリュッセルに限りません。レンヌのニオン・ブレイズ・フェスティバルも2019年に終わっており、いまは別の催しが続いています。一覧は、作った年の地図であって、いまの地図ではありません。
3. 同じ会場に、2026年2月、新しい催しが立ちました
ジャパン・コン/ブリュッセル・マンガ(Japan Con / Brussels Manga)です。公式サイト japancon.be に出ている内容です。
- 会期 2026年2月21日から22日の2日間
- 開場 両日とも10時から18時
- 会場 トゥール・エ・タクシー Havenlaan 86c, 1000 Brussels。ジャパンエキスポ・ベルギーと同じ建物です
- 主催 コミック・コン・グループ・ベルギー。連絡先は contact@japancon.be
- 位置づけ 公式サイトが自ら「新しいコンベンション」と書いています。回数の表示はありません
- 入場 10歳未満は無料。コスプレ割引あり(衣装が体の7割以上を覆っていること)。刀剣・刃物・銃の持ち込みは禁止。車椅子対応
公式サイトに出ていないものも、はっきりしています。入場料の金額、来場者数、出展者の一覧、そして出展の受付。この4つは掲示がありません。
4. 出展の入口は、催しの側ではなく運営会社の側にあります
ここが、この街のいちばん実務的な要点です。
ジャパン・コンの公式サイトには出展の案内がありませんが、主催のコミック・コン・グループ・ベルギーは、同じ会場でコミック・コン・ブリュッセルも運営しています。そちらのサイトには「Become an exhibitor / Dealer / Partner(出展者・販売者・協賛になる)」のページがあります。コミック・コン・ブリュッセル2026は10月24日(10時から19時)と25日(10時から17時)、会場は同じくトゥール・エ・タクシーです。
その申込フォームに入力するのは、氏名、メールアドレス、件名、本文の4つだけです。掲示されている条件は「小間の広さと場所は、ご要望とご予算に合わせて複数ご用意しています」の一文のみ。出展料も、小間の寸法も、締切も、書かれていません。
つまりブリュッセルは、料金表を見て決める街ではなく、1通書いて見積もりを受け取る街です。商業のコンベンション運営会社が窓口ですから、尋ねれば返ってきます。返ってこないほうを心配してください。
5. ブリュッセルには、もう1つあります
メイド・イン・アジア(Made in Asia)です。こちらは続いています。2026年秋の会期は10月17日と18日、会場はブリュッセル・エキスポ。開場は土曜10時から19時、日曜10時から17時で、ファストパス所持者は9時に入れます。
2つの使い分けは、はっきりしています。
- 規模 メイド・イン・アジアのほうが大きく、出展者の国際色も濃い催しです
- 会場 メイド・イン・アジアはブリュッセル・エキスポ、ジャパン・コンはトゥール・エ・タクシー。別の建物です
- 時季 メイド・イン・アジアは10月、ジャパン・コンは2月。半年ずれています
- 成熟度 メイド・イン・アジアは実績のある催し。ジャパン・コンは始まったばかりで、来場者数の実績がまだ公表されていません
始まったばかりの催しは、通路が空いています。これは短所にも長所にもなります。人が少ないのは短所です。運営が一社ずつ顔を覚えるのは長所です。どちらを取るかは、その年に何を確かめたいかで決まります。
6. 最初の1通で、まとめて尋ねること
フォームの本文欄は自由記述です。短く済ませると往復が増えます。次の6つを1通にまとめてください。
- 小間の広さの種類と、それぞれの出展料。机、椅子、電源が含まれるかどうか
- 申込の受付開始と締切。2月開催なら、締切は前年の秋であることが多くあります
- 日本の法人が出展できるか。できる場合、必要な書類は何か
- 会場で通じるのはオランダ語、フランス語、英語のどれか。ブリュッセルは二言語地域です
- 第1回の来場者数と、来場者の年齢層。公表されていなければ、概数でよいので教えてほしいと添える
- 同じ運営のコミック・コン・ブリュッセルにも出た場合、条件が変わるかどうか
弊社は、フランスのJAPAN EXPO等のマンガ関連イベントに計11回出展してまいりました。11回のあいだに、なくなった催しも、名前が変わった催しもありました。それでも通路で分かることは変わりません。掲げた説明文の正確さでは足が止まらない、ということです。読ませる資料より、絵だけで筋が追えるもののほうが通路では強い。オランダ語とフランス語と英語が混ざる街では、その差がいっそう大きく出ます。
よくあるご質問
Q1. 一度終わった催しが、同じ会場でまた立つのはなぜですか。
会場が残るからです。トゥール・エ・タクシーは19世紀の貨物駅を使った大型の催事場で、催しの持ち主ではありません。運営会社が代われば、同じ床に別の名前が乗ります。催しの名前で探すのをやめて、会場の名前で探すと、この種の立ち上がりを先に見つけられます。
Q2. 始まったばかりの催しに出るのは、危ないのではありませんか。
回数の少なさそのものは危険信号ではありません。見るべきは運営です。ジャパン・コンの主催は同じ会場でコミック・コンを運営してきた会社で、催事の運営体制はすでにあります。判断は、尋ねたときに返ってくる答えの具体性でしてください。
Q3. 出展料が公式に出ていないのは、不誠実ではありませんか。
ヨーロッパの催しでは珍しくありません。小間の広さも、机や電源の要否も、出す物によって変わります。表を先に作るより、内容を聞いてから見積もるほうが早いという運営の判断です。日本の見本市の様式に慣れていると不安になりますが、これは様式の違いです。
Q4. ベルギーはフランス語圏だと考えてよいですか。
ブリュッセルはオランダ語とフランス語の二言語地域です。会場の住所も Havenlaan とオランダ語で表記されています。案内物をフランス語だけで作ると、半分の来場者に読まれません。絵で伝わるものを持っていく理由が、ここにもあります。
Q5. まず何から始めればよいですか。
出展せずに、1回見に行くことをおすすめしています。どんな人が通路を歩いているか、どの卓の前で足が止まっているかを、自分の目で見てください。ブリュッセルは2月と10月に別々の催しがありますので、日程を合わせやすい街です。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
御社がお持ちの海外イベントの一覧は、いつ作られたものですか。
その年をご相談のときに教えてください。そこから消えた催しと、あとから立った催しを、一緒に洗い直します。
海外での実際の取り組みをご覧いただけます。国際マンガの事例を見る
催しは終わります。会場は残ります。街を消すのは、まだ早すぎます。
同じ街の、もう1つの催しは?
言葉が読まれない通路で、起きたこと


