
「フランスの催しに出るなら、やはりパリなのだろうか。地方の催しは小さすぎて、法人が出る場所ではないのではないか」
そうとは限りません。南フランスのモンペリエで9月に開かれるジャパン・マツリは、2026年で第15回。会場は見本市会場で、公式の出展案内には申込フォームが2つ並んでいます。ひとつは一般の参加者向け、もうひとつは事業者向けです。法人が出る前提が、はじめから用意されています。
以下、公式サイトと会場運営会社の掲示、および第三者の情報サイトの記載を、出どころを分けて並べます。
1. ジャパン・マツリ(モンペリエ)の基本情報
公式サイト(japanmatsuri.fr)と、会場を運営するモンペリエ見本市会場の告知ページ(parc-expo-montpellier.com)に出ている内容は、次のとおりです。
- 名称 ジャパン・マツリ(Japan Matsuri)。副題として「アジア文化の祭典」を掲げています。
- 開催日 2026年9月26日(土)と27日(日)の2日間。
- 回数 第15回。
- 会場 モンペリエ見本市会場(Parc des Expositions de Montpellier)。所在地はモンペリエ市街ではなく、隣接するペロル(Route de la Foire, 34470 Pérols)です。
- 規模 会場側の告知に「160を超える出展者」。公式の出展案内には「12,000平方メートル」という面積の記載があります。
- 入場料 会場側の告知は「16.50ユーロから」。チケット販売ページ(fnacspectacles.com)では2日通し券が29.00ユーロで並んでいます。
開場時間は、地域の情報サイト jds.fr が土曜9時から20時、日曜9時から19時と書いています。これは公式の掲示ではありませんので、確定の情報として扱わず、問い合わせのときに確かめる項目に入れておきます。
来場者数は、公式にも会場側にも数字が出ていませんでした。ですのでここには書きません。規模を測る材料として使えるのは、出展者160超と会場面積12,000平方メートルの2つだけです。
2. 申込の窓口が、2つに分かれています
公式サイトには「出展者になる」という案内ページがあり、そこから2種類のフォームへ進みます。ひとつは参加フォーム、もうひとつは事業者向けのフォームです。窓口が分かれているということは、個人の作り手と事業者とで、扱いが違うということです。
小さな催しの多くは、出展枠が作家と職人の展示販売だけということがあります。その場合、法人が出ようとしても、そもそも受け皿がありません。モンペリエは、そこが分かれています。出る前に確かめるべき最初の1点は、規模でも来場者数でもなく、この受け皿の有無です。
3. 出展料は、公式サイトに出ていません
一方で、出展の実務にあたる情報は掲示されていませんでした。2026年9月4日に確認した範囲では、次のものが公式サイトに見当たりません。
- 出展料。金額も、区分ごとの単価も出ていません。
- 小間の広さ。1区画が何メートル四方なのかが分かりません。
- 机・椅子・電源が付くかどうか。
- 申込の締切日。
つまり、フォームを送って返事をもらうまで、費用が分からない状態です。これは南フランスに限った話ではなく、この連載で扱ってきたナンシーやニームでも同じでした。日程と入場料は1年近く前から出るのに、出展の条件だけが後から決まる。掲示を待っていると、受付が開いたことにも締め切ったことにも氣づけません。
ただし、これを「フランスの催しは全部そうだ」と読み替えないでください。レンヌのように、出展枠そのものが作家向けに限られていて、法人の区分が最初から無い催しもあります。同じ「出展料が出ていない」でも、意味が違います。
4. 同じ主催者が、2つ目の街で第1回を始めています
主催は、日本文化を扱う協会アシアナ(Assiana)です。オクシタニー地域圏の公式サイト(laregion.fr)によると、同じ協会が2026年5月30日と31日に、ベジエでジャパン・マツリの第1回を開いています。ベジエはモンペリエから西へ70キロほどの街です。
15回続けた催しの運営が、そのまま2つ目の街へ移されたということです。これは出展を考える側にとって、2つの意味があります。ひとつは、同じ運営に一度慣れれば、2会場で同じやり方が使えること。もうひとつは、催しの数が増えている地域があり、その増え方が新設ではなく既存の運営の横展開で起きていることです。
弊社はジャパンエキスポをはじめ、フランスのマンガ関連イベントへ、2006年から2015年までに11回出展してきました。回を重ねて分かったのは、会場の大きさより、同じ運営と同じ来場者に何回会えるかのほうが効くということです。1回目に配ったものは覚えられていません。2回目に「去年も来ていましたね」と言われたところから、話が変わります。
5. 問い合わせるときに、聞いておくこと
フォームから連絡を取るとき、最初のやり取りで揃えておくと後が早い項目を挙げます。
- 事業者向けの区分で申し込めるか。作家向けの枠しか空いていないことがあります。
- 出展料と、そこに何が含まれるか。小間の広さ、机、椅子、電源、電氣代、駐車。
- 申込の締切と、支払いの時期。
- 日本から送る荷物の受け取り可否と、荷物の預け先。
- 会場の最寄り交通。モンペリエ市街ではなくペロルですので、来場者がどう来るかは自分たちの動線にも関わります。
この5つは、催しごとに答えが変わります。一覧表に書き写せる種類の情報ではありませんので、毎回聞いてください。
よくあるご質問
Q1. 出展者160社という規模は、大きいほうですか。
フランスの地方の催しとしては大きいほうです。この連載で扱ってきた催しには、出展者が数十件のものもありました。ただし出展者数は、事業者と個人の作り手を合わせた数であることが多く、内訳は公表されていません。数だけで比べないほうが安全です。
Q2. 出展料が公式に出ていないのは、あやしいということですか。
いいえ。運営の人手の問題であることがほとんどです。この規模の催しは、実務の掲示が後回しになります。あやしいかどうかではなく、こちらから聞かないと分からない、という運びだと考えてください。
Q3. モンペリエとベジエ、どちらに出るとよいですか。
初めてであれば、15回続いているモンペリエのほうが、当日の運びが読めます。ベジエは第1回ですので、来場者の顔ぶれがまだ分かりません。2会場とも同じ協会が運営していますので、まずモンペリエで一度会って、そのうえで相談されるのがよいと考えます。
Q4. 9月開催ですと、いつから動けばよいですか。
締切が掲示されていない以上、逆算はできません。分かっている日付から動くほかありませんので、前年の秋のうちに一度問い合わせて、受付が始まる時期を教えてもらってください。掲示を待つ姿勢だと、間に合わない年が出ます。
Q5. 出る前に、現地を見ておくべきでしょうか。
見ておかれるほうがよいと考えます。通路を歩いているのが誰か、どの卓の前で足が止まっているかは、資料には書かれていません。1日だけ見に行って、翌年の設計をそこで決める。この順番のほうが、初年度から出るより結果が出ています。
最後に、ひとつだけうかがわせてください。
御社が海外の催しを検討されるとき、いちばん最初に調べるのは何でしょうか。
その1項目を書いた紙を1枚、ご相談のときにお持ちください。順番を入れ替えるだけで、動き出しが半年早くなることがあります。
海外での実際の取り組みをご覧いただけます。国際マンガの事例を見る
窓口が2つに分かれている催しは、法人が出ることを最初から想定しています。
参考ブログ
参考実績


